「個人再生をした債務の返済が遅れてしまいそう」
「個人再生をした債務の返済が遅れたらどうなるのか」
「債務の返済は何回までなら遅れても良いのか」
「万が一、返済ができなかった場合には対処法はあるのか」
個人再生を行い、裁判所に再生計画の申立が認められると、再生計画に則った返済が開始されます。
原則3年間の間に返済(支払い)する必要がありますが、急な出費等の理由により、返済が遅れてしまう事もあるでしょう。
そこで、当記事では個人再生の返済遅れをしてしまった場合のリスクや、対処法について詳しく解説していきます。
当記事を読むと、以下の事が解ります。
それでは、早速見ていきましょう。
債務整理でお悩みの方は当事務所にお気軽にご相談ください。
相談料は無料です。
- そもそも個人再生とは、借金を大幅に減額する債務整理の1つ
- 個人再生の返済遅れは、手続き自体が廃止になるリスクがある
- 個人再生の返済遅れは、何回までなら許されるという定義はない
- 個人再生の返済ができない時の対処法は3つ
- ハードシップ免責・再生計画の変更の手続きの方法はシンプル
- 返済が難しいと感じたら、すぐに弁護士に依頼を
- 債務整理で失敗しない、経験実績の高い弁護士を選ぼう
- そうや法律事務所の弁護士費用
- 債務整理についてよくある質問をQ&A形式でわかりやすく回答
- 個人再生の返済遅れは、弁護士に相談のうえ早めの対処を
そもそも個人再生とは、借金を大幅に減額する債務整理の1つ
個人再生とは、裁判所に再生計画を提出して認可を受けることで、借金が大幅に減額できる債務整理の1つです。
返済の期間は通常3年で、借金を5分の1から10分の1の最低弁済基準額まで圧縮できるため、月々の返済額が大きく軽減されます。
下記に、最低弁済基準額をまとめたので、参考にしてください。
借金の総額 | 最低弁済額 |
---|---|
100万円未満 | 全額負担 |
100~500万円未満 | 100万円 |
500~1500万円未満 | 借入金額の5分の1 |
1500~3000万円未満 | 300万円 |
3000~5000万円未満 | 借り入れ金額の10分の1 |
具体例を挙げると、総借入額が3000万円の場合には300万円に、総借入額が1000万円の場合には200万円にまで減額されるという事になります。
上記のように大幅な借金の圧縮が可能なため、借金問題解決の大きな手助けとなる制度です。
しかし、圧縮された借金を返済する必要があるという点から、個人再生の申立をするためには、下記の要件を満たす必要があります。
- 今のままでは債務を返済する目途がたたない
- 安定した収入がある
- 借金の総額は5000万円以下(住宅ローンを除く)
上記の要件からも解るように、個人再生手続きを利用できるのは、安定した収入があり、借金の圧縮後に継続して返済をし続けられる方です。
また、住宅ローンを除いた借金の総額が5000万円以下である必要もあります。
同じ債務整理として挙げられる自己破産との大きな違いは、自宅などの財産を処分する必要がないという点です。
個人再生には「住宅ローン特則」という制度があり、住宅ローンをその他の債務と別に扱う事により、住宅ローンはそのままに他の債務を整理できます。
このため「借金を大幅に軽減したいが、住宅は手放したくない」という方は、個人再生を選択した方が良いでしょう。
個人再生の返済遅れは、手続き自体が廃止になるリスクがある
結論から先に申し上げると、個人再生の返済遅れは、手続きが廃止になるリスクがあります。
これは、民事再生法により定められており、以下の要項に該当するとみなされた場合、個人再生が廃止されます。
第百八十九条
再生計画認可の決定が確定した場合において、次の各号のいずれかに該当する事由があるときは、裁判所は、再生債権者の申立てにより、再生計画取消しの決定をすることができる。一 再生計画が不正の方法により成立したこと。
二 再生債務者等が再生計画の履行を怠ったこと。
三 再生債務者が第四十一条第一項若しくは第四十二条第一項の規定に違反し、又は第五十四条第二項に規定する監督委員の同意を得ないで同項の行ためをしたこと。
第百九十四条
引用:民事再生法 (japaneselawtranslation.go.jp
再生計画認可の決定が確定した後に再生計画が遂行される見込みがないことが明らかになったときは、裁判所は、再生債務者等若しくは監督委員の申立てにより又は職権で、再生手続廃止の決定をしなければならない。
債権者の申し立てが、裁判所に認められ再生計画が廃止になると、借金の減額は帳消しになります。
帳消しになると、申立が完了した個人再生の手続き自体が全て無駄になるため、個人再生の廃止は必ず未然に防ぎましょう。
個人再生の返済遅れは、何回までなら許されるという定義はない
上の項で、個人再生の返済遅れは個人再生自体が廃止になるリスクがあると解説しました。
故意であっても過失であっても、返済の遅れをそのままにしておく事だけは絶対にやめましょう。
しかし、滞納してすぐに廃止になるのか「何回までの滞納なら許されるのか」を知りたい方は、多いのではないでしょうか。
結論から先に申し上げると、個人再生の返済遅れに「何回目までなら大丈夫」という明確な回答はありません。
なぜなら、債権者は1回滞納された時点で、裁判所へ再生計画取り消しの申立を行えるからです。
実際には、1回滞納されたタイミングですぐに裁判所へ申立する債権者はごく僅かです。
しかし、再生計画取り消しを申立る基準は債権者によって様々なため、◯回までなら大丈夫という事は言えません。
個人再生を選択した方の多くは、自宅などの財産を手放したくないといった理由から、自己破産ではなく個人再生を選択したはずです。
しかし、返済を無視したり、滞納を続けると結果的に財産は没収され、自己破産と同様の状況に追い込まれてしまいます。
「1回だから滞納しても大丈夫だろう」と高を括るのは危険なため、絶対に避けましょう。
個人再生の返済ができない時の対処法は3つ
2019年度に発表された司法統計によると、廃止によって個人再生手続きが失敗に終わった方は、全体の2.4%です。
つまり、個人再生を行った100人のうち、2〜3名は毎年金銭的な理由により、個人再生に失敗しているという事が解ります。
しかし「無い袖は振れない」ということわざがあるように、返済したくても、金銭的な理由からどうしても返済が難しい方もいるでしょう。
どうしても返済が難しい場合には、下記の3つの対処法があります。
- 支払い期限を延長する
- ハードシップ免責を受ける
- 自己破産をする
それぞれ、詳しく見ていきます。
対処法1.再生計画の変更で、支払い期限を最大2年延長する
個人再生手続きで、申立をした再生計画案通りの返済が難しくなった場合「再生計画の変更」を申立することで、支払い期限を延長できます。
しかし、支払い期限の延長は「やむを得ない場合」にのみ限られ、娯楽や浪費といった理由で返済が怠ってる場合には、再生計画の変更は認められません。
下記に、やむを得ない理由として認められるケースをまとめたので、参考にしてください。
- 不景気による給与カット
- リストラ
- 事故による入院
- その他の不可抗力で起こる事態
このようなケースでは、再生計画の変更が認められる可能性があるので、裁判所に再生計画の変更を申立しましょう。
申立には【家計簿などの家計の収支がわかる書類】【給与明細】が必要です。
裁判所はこれらの書類から、債務者がどの程度困窮に苦しんでいるのかを客観的に判断します。
再生計画の変更が認められるまでには、一般的に3ヶ月は要するため、経済状況が悪化する前に手続きを開始する事が望ましいです。
申立が認められると、最大で2年間返済期限が延長されます。
再生計画案の弁済期間が残り3年の場合には、5年に延長され、残り5年の場合には7年にまで延長されるということです。
弁済期間が延長されると、単純に1回の返済額が低くなるということなので、安定した収入はあるが、今までの返済額が難しくなってしまった方には効果的な方法と言えるでしょう。
しかし、その一方で再生計画の変更には、下記の注意点もあります。
- 履行見込みがなければ申立できない
- 弁済する金額に変更はない
- 住宅ローン特則には影響がない
それぞれ、詳しく見ていきましょう。
注意点1.履行見込みがなければ申立できない
上の項で「やむを得ない理由」があれば、再生計画の変更を行えると申し上げました。
しかし、やむを得ない理由があっても、下記に該当する場合には申立が難しいケースがあります。
- 回復の見込みがない病気で復職が困難
- 高齢で再就職が困難
- 収入の目処がたたない
これらに該当する場合には、以下で解説する「ハードシップ免責」や「自己破産」を視野に入れてください。
注意点2.弁済する金額に変更はない
再生計画の変更の申立を行っても、弁済する金額は変わりません。
なぜなら、個人再生を行った段階で、既に法律で認められた大幅な借金減額を行っているからです。
あくまでも、再生計画の見直しは弁済期間を延長して月々の返済額を減額する制度です。
再生計画の見直しに、現在以上の債務の減額を求めている方は注意しましょう。
注意点3.住宅ローン特則には影響がない
弁済期間の変更を行っても、住宅ローンの返済額の変更はありません。
住宅ローンの弁済期間の延長を行いたい場合には、別途住宅ローン融資機関と交渉する必要があります。
対処法2.ハードシップ免責を受けて、残りの支払い義務を免除する
ハードシップ免責とは、事故や病気といった想定外の事態等で、再生計画通りの支払いが難しくなった際に、残りの債務を免除する制度です。
しかし、ハードシップ免責を受けるためには、下記の厳しい要件を満たす必要があると、民事再生法で定められています。
計画遂行が極めて困難となった場合の免責
民事再生法第二百三十五条 再生債務者がその責めに帰することができない事由により再生計画を遂行することが極めて困難となり、かつ、次の各号のいずれにも該当する場合には、裁判所は、再生債務者の申立てにより、免責の決定をすることができる。
一 第二百三十二条第二項の規定により変更された後の各基準債権及び同条第三項ただし書に規定する各再生債権に対してその四分の三以上の額の弁済を終えていること。
二 第二百二十九条第三項各号に掲げる請求権(第二百三十二条第四項(同条第五項ただし書において準用する場合を含む。)の規定により第百五十六条の一般的基準に従って弁済される部分に限る。)に対してその四分の三以上の額の弁済を終えていること。
三 免責の決定をすることが再生債権者の一般の利益に反するものでないこと。
四 前条の規定による再生計画の変更をすることが極めて困難であること。
引用:民事再生法 (japaneselawtranslation.go.jp
少々難しい表現ですが、ハードシップ免責を受けるためには、下記の要件を満たす必要があるということです。
- 再生債務者が、その責めに帰することができない事由
- 再生計画の履行が極めて困難であること
- 債権者の一般の利益に反するものではないこと
- 再生計画の返済金額のうち4分の3以上が、返済済みであること
それぞれ、詳しく解説していきます。
要件1.再生債務者が、その責めに帰することができない事由
再生債務者が、その責めに帰することができないというと難しく聞こえます。
噛み砕いて説明すると、債務者には責任がない想定外の事態が起こり、その結果返済が難しくなってしまったケースの事です。
具体的には、病気やケガで働けなくなった際や、天災により業務継続が難しくなってしまうケースがあります。
本人が想定していない事態である事が求められるため、故意の離職等は認められません。
要件2.再生計画の履行が極めて困難であること
上の項で解説した再生計画の変更を利用し、支払い期限を延長しても返済の見込みが立たない場合、ハードシップ免責を受けられます。
このため、一時的な収入減少や出費を理由には、ハードシップ免責は受けられません。
長期的に収入が減少している、再就職が難しい等の、永続的に支払い困難と判断される状況下に置かれている必要があります。
要件3.債権者の一般の利益に反するものではないこと
債権者の一般の利益に反するものではないことを解説するために、精算価値保障の原則について知る必要があります。
個人再生における弁済総額が、自己破産をした際の配当率(精算配当率)以上である原則のことです。
配当率とは、自己破産する際の債務額に対する配当額の割合のことで、財産を売却して債権者に配当します。
つまり、ハードシップ免責を行う際には、自己破産を行った場合の配当率以上の返済が、既に債権者に行われている必要があるということです。
要件4.再生計画の返済金額のうち4分の3以上が、返済済みであること
再生計画案の返済金額のうち、4分の3以上の返済を終えていないと、ハードシップ免責は受けられません。
このように、ハードシップ免責は非常に厳しい条件をクリアしなければならない制度で、殆どの場合申立をしても認めてもらえません。
ハードシップ免責で、個人再生の返済額を免責したい方は、一度債務整理の経験実績が豊富な弁護士事務所に依頼してみましょう。
補足:住宅ローン特則は、ハードシップ免責の適用外である
住宅ローンに関しては、ハードシップ免責の適用外です。
住宅ローンは免責にならないため、今後も支払い続ける必要があります。
ハードシップ免責をしても尚、住宅ローンの支払いが難しい場合には、別途住宅ローンの金融機関への相談が必要と言えるでしょう。
対処法3.自己破産で債務を免責する
再生計画の変更や、ハードシップ免責が認められなかった場合、自己破産も視野に入れる必要があります。
実は、個人再生の手続き後でも自己破産の申請は可能です。
自己破産を行うと、個人再生ではどうにもならなかった債務が免責になり、借金問題の全てが帳消しになります。
現在、下記の様な状況であれば、個人再生を無理に続けていくよりも、自己破産をした方がメリットが大きいかもしれません。
- 借金の総額が年収と同等もしくは、多い
- 利息の支払いのみで、生活が困窮している
- 守るべき財産がない
- 借金を完済できる見込みが立たない
自己破産は、個人再生の様に返済する義務がないため、生活をすぐに再建できます。
しかし、個人再生では失わなかった住宅や車といった財産は失うことになるため、メリット・デメリットを比較して、適切な選択をしてください。
- 借金を返済する必要がない
- 一部の財産は手元に残せる
自己破産の最大のメリットは、借金を返済する必要がないという点です。
自己破産と同じく債務整理として挙げられる【個人再生】や【任意整理】では借金や利子の減額はされますが、数年に渡って最低限の返済は続ける必要があります。
しかし、自己破産では税金等を除く全ての債務が免責になるため、借金問題が最も早く解決すると言えるでしょう。
また、自己破産を行うと財産を失うというデメリットがありますが、これは厳密に言うと間違いです。
自己破産を行った場合でも、一部の財産は手元に残せます。
具体例を挙げると、99万円以下の現金、破産後に取得した「新得財産」そして、生活に必要な家財や家電も手元に残せます。
このため、住宅や車、ブランド品といった財産を数多く所有していないのであれば、自己破産をするメリットの方が多いと言えるでしょう。
- 家や車を失う
- 信用情報機関に事故情報が残る
自己破産の最大のデメリットは、住宅や車といった大きな財産を失ってしまう事です。
先ほど、自己破産をすると生活に必要な財産は手元に残せると申し上げましたが、生活に不必要な贅沢品は全て没収されてしまいます。
具体例を挙げると、住宅・車・株式・貴金属などが挙げられ、住宅ローンを残した住宅がある場合には、住み続ける事は難しいでしょう。
しかし、査定額が20万円以下の場合には、維持できることも多く、中には親族に買い取ってもらう事により、住宅や車を維持しているケースもあります。
また、自己破産の間違ったデメリットとして挙げられるのが【リストラされる】【選挙権を失う】【年金が貰えなくなる】等ですが、これらは事実ではありません。
まず、リストラに関してですが、自己破産を理由に会社員が解雇される事はありません。
なぜなら、自己破産を理由とした解雇は不当解雇に該当する、と労働基準法によって定められているためです。
このため、万が一自己破産を理由に解雇されるような事があれば、労働基準監督署に申立しても良いでしょう。
しかし、一方で会社に督促や取り立てが訪れ、会社に対して損害を与えた場合には話が別です。
リストラされないと言うのは、あくまでも会社に迷惑をかけていない場合に限られます。
次に、選挙権を失うというデマについてですが、選挙権は国民の権利であるため、自己破産により制限されることはありません。
最後に、年金の受給についてです。
年金は大きく分けると【公的年金】【個人年金】があります。
結論から先に申し上げると、公的年金は受給できますが、個人年金は自己破産すると債権者に配当されます。
なぜ公的年金は受給できるのかと言うと、公的年金の差し押さえは法律により、禁じられているからです。
納税者及び同居親族の最低生活の維持及び精神生活の尊重等の観点から特定財産について差押えが禁止されている。これは次のように区分される。
(中略)
①厚生年金保険法、国民年金法、恩給法、国家公務員共済組合法、中小企業退職金共済法、小規模企業共済法等の法律に基づく保険、共済又は恩給に関するもの
引用:https://www.zeiken.co.jp/yougo/国税徴収法/差押え及び換価/差押禁止財産.html
公的年金とは、以下の年金が該当します。
- 国民年金
- 厚生年金(共済年金)
現在、上記の年金を支払中である場合には、自己破産を行っても年金が受給できなくなる心配はありません。
しかし、その一方で個人年金は自己破産をすると差し押さえられる可能性があります。
個人年金は、公的年金のように法律で差し押さえが禁じられておらず、生命保険の解約返戻金等と同等の財産という分類になります。
このため、個人年金の受取額が高額である場合には、自己破産をしたタイミングで解約して債権者に配当する必要があるでしょう。
受取額が高額であるという基準は、裁判所により異なりますが、東京地方裁判所では、自己破産を申立る段階で、年金積立金が20万円以上である場合には、個人年金を解約し債権者に配当する決まりとなっています。
自己破産は想像以上のデメリットはない、延滞や踏み倒しをするなら自己破産も視野に入れましょう
自己破産は、債務が免責になる債務整理の方法なので、勿論デメリットもあります。
しかし、上の項でも解説したようにデメリットの多くが嘘の情報であったり、表現が過剰であったりするものが殆どです。
もちろん、自己破産をしないに越した事はありません。
しかし、支払える見込みがなく、踏み倒しや延滞をする方が状況が悪化する事は間違いないのは確かです。
ハードシップ免責や、再生計画の見直しの目処が立たない方は、速やかに自己破産の相談をしましょう。
ハードシップ免責・再生計画の変更の手続きの方法はシンプル
この項では、ハードシップ免責と、再生計画の変更手続きについて解説していきます。
ハードシップ免責も再生計画の変更も、個人再生をした際の裁判所に再度申立を行うだけなので、手続き自体は非常にシンプルです。
下記に手続きの手順をまとめましたので、参考にしてください。
ハードシップ免責手続きの手順は3つ
ハードシップ免責は、下記の手順で申立を進めていきます。
- 個人再生をした裁判所へハードシップ免責の申立をする
- 「免責申立書」「返済できない事の証明書類」を提出
- 裁判所が免責の可否を判断
- ハードシップ免責の認可
はじめに個人再生を申立した管轄の裁判所へ、ハードシップ免責の申し立てをしましょう。
申立には、免責申立書と返済できない事を証明する書類が必要です。
返済できない事を証明する書類は、第三者が客観的に見て生活が困窮していると判断できる【給与が著しく減少した給与明細】【病気で就労が困難であることをしめす診断書】などを提出します。
これらの提出書類を加味し、裁判所は債権者とともに、免責を認可するかについて判断していくということです。
ハードシップ免責の手続きには、収入印紙代600円を含めた合計1,000円程度の手数料がかかります。
再生計画の変更手続きの手順は2つ
再生計画の変更手続きを行う場合、下記の手順で申立を進めていきます。
- 再生計画の変更を裁判所へ申立する
- 変更再生計画案が認可される
まず、再生計画の変更手続きを行う場合には、個人再生を行った管轄の裁判所で「変更再生計画案」を提出します。
申立ができるのは、債務者のみとなる点は留意しましょう。
変更再生計画案には、変更を求める旨や、支払いが困難になった理由等を、偽りなく明記してください。
変更再生計画案の認可は、個人再生の再生計画と同様に行われ「小規模個人再生」では、変更再生計画案に対して債権者の決議が必要になります。(給与所得者等再生では、決議は必要ありません)
下記に、小規模個人再生の決議についてまとめましたので、参考にしてください。
小規模個人再生を行う場合、申立した再生計画案に対して、債務者の頭数の半数以上が同意及び、再生する債権額の過半数を占める債権者が同意する必要がある。
半数以上が不同意であった場合には、再生手続きは廃止される。
小規模個人再生の決議が承認されると、再生計画の変更が決定となります。
このように記載すると、再生計画の変更であれば個人で簡単に行えると思うかもしれません。
しかし、再生計画案の作成は非常に難しく、多くの法的な要件を満たす必要があります。
また、個人では債権者との協議や交渉が難しく、不利な条件で交渉締結してしまうケースもありえます。
このような事態を避けるためには、弁護士の力を借りる事をおすすめします。
返済が難しいと感じたら、すぐに弁護士に依頼を
個人再生における再生計画の変更や、ハードシップ免責はじめとした債務整理を失敗しないためには、弁護士に依頼することをおすすめします。
下記に、弁護時に依頼するメリットをまとめましたので、参考にしてください。
- 個人再生の失敗が防げる
- 職場に知られにくい
- 仕事を妨げることなく、債務整理ができる
- 専門家のアドバイスを得られる
それぞれ、詳しく解説していきましょう。
メリット1.個人再生の失敗が防げる
個人再生において重要なのは、法律の要件を満たした再生計画案の提出と、債権者との交渉力です。
個人再生の手続きは、非常に複雑で間違えると受理して貰えないことから、個人で手続きを行うのは難しいと言えるでしょう。
万が一、順調に手続きが進んだとしても、肝心な債権者との交渉が決裂してしまっては何の意味もありません。
しかし、個人再生をはじめとした債務整理の経験実績が豊富な弁護士であれば、今まで交渉してきた債権者のデータを基に、債務者にとって有利な和解交渉を結べます。
書類の作成においても、個人で行うよりも迅速なため、スピーディー且つ確実に個人再生を完了させられます。
メリット2.職場に知られにくい
弁護士に依頼するメリットとして、職場に借金の存在を知られにくいと言う点も挙げられます。
職場に借金の存在がバレるケースの多くが、電話や手紙による取り立て・督促です。
自宅や職場に取り立ての連絡が入り、借金している事実を知られてしまった方は多くいるでしょう。
しかし、弁護士に債務整理の依頼をすると、依頼締結後の全てのやり取りは弁護士が行ってくれます。
なぜなら、弁護士に依頼した段階で、弁護士は各債権者に対して「受任通知」といる書類を送付するからです。
この受任通知は、債務整理業務を債務者から委託された旨を債権者に伝える役割があります。
また、債務者への電話や書面での取り立てや督促を停止する効力もあり、実際に貸金業法でも以下の通りに記されています。
債務者等が弁護士等に債務整理を委託し、弁護士等から書面でその旨の通知があった場合には債務者等に対して訪問や電話で債務の弁済を要求してはならない
引用:https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=358AC1000000032
書類や電話などの全ての窓口は弁護士となるため、電話は督促で職場にバレるリスクは軽減するでしょう。
メリット3.仕事を妨げることなく、債務整理ができる
自身で個人再生をはじめとした債務整理を行う場合、書類の書き方を覚えて、各種書類を集める事から始めます。
覚えなければならない知識も多いため、仕事を続けながら1人で手続きを行う事は、非常に困難でしょう。
また、債務整理の手続きをする上で、何度か裁判所へ出向く必要もあります。
しかし、弁護士に依頼すると、各種書類の書き方や集め方まで丁寧に説明してくれます。
手続きにより裁判所へ出向く必要があるケースもありますが、出向く回数を最小限にまで留められるため、仕事に支障をきたすことなく債務整理を終えられるでしょう。
メリット4.専門家のアドバイスを得られる
弁護士に依頼する最大のメリットと言っても過言でないのが、専門家のアドバイスを得られると言う点です。
自身で債務整理を行う場合、知識不足なために本当は任意整理で済んだはずの借金を、わざわざ個人再生で減額してしまう事もあるでしょう。
債務整理の経験実績が高い弁護士であれば、状況に合わせてもっともリスクの少ない債務整理の方法をご提案できます。
その他のお金に関する不安も、合わせて相談できるので、1人で悩むより心強いと言えるでしょう。
債務整理で失敗しない、経験実績の高い弁護士を選ぼう
一口に弁護士事務所といっても、様々な弁護士事務所があります。
債務整理等の難しい手続きは、弁護士選びに命運がかかっているといっても過言ではないため、良い弁護士事務所を選択しましょう。
債務整理に失敗しない、良い弁護士選びのポイントは以下の通りです。
- 債務整理の経験実績や相談実績が豊富
- 相談が無料
- 費用が明朗である
- トラブルが無いか
- 担当者の有無
それぞれ、詳しく見ていきましょう。
ポイント1.債務整理の経験実績や相談実績が豊富
弁護士事務所を選ぶ際には、その事務所の得意とする分野が何であるかを調べましょう。
弁護士といっても、全ての相談内容に長けているわけではありません。
離婚問題を得意とする弁護士事務所や、企業法務を専門とした弁護士事務所等、得意分野は様々です。
もちろん、債務整理に特化した弁護士事務所も存在するため、個人再生の返済遅れをはじめとした債務整理に関わる相談は、債務整理を得意とした弁護士事務所に依頼しましょう。
債務整理の場合には、特に経験や実績が必要とされます。
なぜなら、債務整理では手続きの正確さのみではなく、債権者との交渉力も求められるからです。
最善の条件で債務整理をしたいのであれば、必ず債務整理に強い弁護士に依頼するようにしてください。
法律事務所がどの分野の相談を得意とするかについては、法律事務所のHP等で確認できます。
ポイント2.相談が無料
弁護士事務所を決定する際には、必ず相談をしてから依頼しましょう。
弁護士事務所の相談では、債務整理を行った実績の有無や、債務整理にかかる費用、そして最適な解決方法を提示してくれます。
弁護士事務所に訪れる必要なく、電話で気軽に相談できるケースもあるので、ニーズにあった方法を選択しましょう。
相談料は無料から数千円程度と、弁護士事務所によって料金設定は様々です。
弁護士に依頼すると、着手金や成功報酬といった費用が今後かかってくるため、相談料はできるだけ無料の場所を選択した方が良いでしょう。
ポイント3.費用が明朗である
弁護士事務所によって、債務整理の費用は異なります。
弁護士の依頼の範囲や交渉技術、そして経験実績によって料金は大きく異なるため、一概に安ければ良いというものではありません。
どちらかと言うと費用の安さ・高さよりも、明朗会計であるかという点を注視しましょう。
弁護士事務所の中には、HP上や文書での金額の明記がなく、後から言い値で費用を請求するケースも僅かながらにあります。
このような弁護士事務所は避け、HPで大体の金額を明記している優良弁護士事務所に依頼しましょう。
また、弁護士費用を事前に用意できない場合には、分割払いに対応している弁護士事務所を選ぶようにしてください。
ポイント4.トラブルがない
弁護士事務所がトラブルを抱えていないかも、弁護士事務所選びで大きなポイントとなります。
弁護士に懲戒処分があるかどうかについては「弁護士懲戒処分検索センター」にて、簡単に確認ができます。
懲戒処分があるからといって、一概に悪い弁護士事務所であるとは言えません。
弁護士懲戒処分センターでは、懲戒処分の理由についてまで詳しく確認できるため、悪徳弁護士なのかそうでないのかを、しっかりと見極める事が大切です。
ポイント5.1人の担当者が最後まで対応してくれる
複数の弁護士が在籍する大きな弁護士事務所に依頼する場合、1人の依頼者に対して1人の担当弁護士が就かないケースがあります。
この場合、複数人の弁護士で対応できる人がその都度対応することになりますが、担当をしっかりと決めない弁護士事務所は選ぶべきではありません。
なぜなら、話の重複や行き違いなどのトラブルの原因になりかねないからです。
担当の弁護士が決まっている場合でも、連絡する度に不在でなかなか直接話ができない弁護士であれば、解任も視野に入れたほうが良いと言えるでしょう。
そうや法律事務所の弁護士費用
そうや法律事務所は、債務整理の相談実績・経験実績が豊富な弁護士事務所です。
個人再生の返済遅れは勿論、ご依頼者様の状況やニーズにあった債務整理の方法をご提案できます。
一人で不安を抱えるよりも、第三者に相談した方が、借金に対する精神的不安が楽になるかと思います。
電話や面談での相談は無料です。
法律相談 | 無料 |
任意整理 | 着手金:55,000円〜(債権者1件あたり) 報酬金:11,000円〜(債権者1社あたり) 減額報酬:11% |
完済過払い金 | 着手金・無料報酬金:22,000円(債権者1社あたり) 過払い報酬:戻ってきた金額の22% |
自己破産(同時廃止・少額管財) | 着手金:330,000円〜 報酬金:220,000円〜 |
個人再生(住宅なし) | 着手金:330,000円〜 報酬金:220,000円〜 |
個人再生(住宅あり) | 着手金:330,000円〜 報酬金:330,000円〜 |
そうや法律事務所では、分割払いが利用できるため、現在お金を用意できないご依頼者様でも、安心して依頼可能です。
更に、そうや法律事務所では、下記の3つの約束を掲げて、ご依頼者様に真摯に対応しております。
- ご依頼者様の意向やご要望をしっかりと伺います
- 最善の解決方法をご提案します
- 迅速に対応します
担当弁護士は、判例の研究や勉強会を欠かさず行っているため、借金問題に対して常に最善のご提案が可能です。
ご依頼者様の悩みを迅速に解決するスピード力にも自信がありますので、まずは一度お問合せください。
債務整理についてよくある質問をQ&A形式でわかりやすく回答
最後に個人再生をはじめとした債務整理について、よくある質問をまとめました。
現在疑問に思うことがなくとも、今後困ることがあるかもしれません。
是非、前もって目を通しておいてください。
Q1.個人再生と自己破産はどちらが得ですか
一概に個人再生と自己破産の、どちらが得ということはありません。
住宅を手放したくないケースでは、個人再生がお薦めで、個人再生をしても返済していく目処がたたなければ自己破産を提案させて頂きます。
また、無理して個人再生して返済していくメリットが少ないと感じる方には、自己破産の方がメリットが大きいと提案します。
ご依頼者様のメリットや意見を最大限に尊重しながら、できる限りの最善策を提案するのが弁護士事務所の仕事です。
Q2.自分で個人再生の手続きはできますか
可能ではありますが、おすすめしません。
個人再生は、債務整理の中でも最も手続きが複雑で、用意する書類も膨大です。
書類の作成だけでも何十時間も要するケースもあるため、法律の知識がない素人が自分で個人再生手続きを行うのは現実的ではないでしょう。
また、万が一書類の準備ができたとしても、個人再生では債権者と交渉していくための、優れた交渉力や交渉実績が求められます。
交渉が決裂してしまっては、手続き自体が認可されません。
このような理由から、個人再生は法律のプロである弁護士に依頼するべきでしょう。
Q3.無職でなくても自己破産は可能ですか
自己破産をするための条件は「客観的に見て支払不能な状態」と判断される事なので、申立をする際に無職である事は問題ではありません(生活が出来ていないとまた借入するかもしれないと思われて自己破産が通らない場合もあります)。
勿論、無職である方が支払不能が明らかですが、正社員であっても債務額に対して収入があまりにも少ない場合には、これに該当します。
一定の収入があっても、生活費や支払いで生活が困窮している方は、自己破産できる見込みが十分にあると言えるでしょう。
Q4.自己破産が認められない免責不許可事由とはなんですか
免責不許可事由とは、破産法で定められた免責が認められない事由のことです。
代表的な免責不許可事由には、ギャンブルや過度な浪費などが挙げられます。
しかし、債務者が反省していると判断されると、裁判所の裁量により免責が認められるため、殆どのケースで免責が認められない事はありません。
また、以前の自己破産から7年経過していない場合も、免責不許可事由に該当します。
過去7年以内に自己破産をした事がある方は、再度自己破産はできない点は留意しましょう。
Q5.個人再生や自己破産すると掲載される官報とか何ですか
官報とは、日本国の新聞であり、政府が国民に対して知らせる事項が記載されています。
様々な国の重要事項が記載される官報ですが、裁判所公告も掲載されています。
官報に掲載される事項は、下記の通りです。
- 手続きを行った裁判所名
- 手続きを行った日時
- 氏名
- 住所
自己破産を行った場合には、破産手続開始決定時と免責許可決定時の合計2回掲載されます。
個人再生を行った場合には、再生手続開始決定時と、書面による決議に付する旨の決定時、そして再生計画許可時の合計3回掲載されます。
官報に氏名、住所が記載されると言うと「人に知られるリスクがある」と不安な気持ちになるかもしれません。
しかし、官報は一部の特殊な仕事に就いている方が読む新聞で、一般人が情報や教養を得るために読む様なものではありません。
親族や知り合いに、区役所の税担当者等がいない限り、官報を理由に債務整理がバレる事はあまりないでしょう。
個人再生の返済遅れは、弁護士に相談のうえ早めの対処を
当記事では、個人再生の返済遅れをするとどうなるのか、またその対処法について詳しく解説していきました。
当記事をまとめると、以下の様な事がわかりました。
- 個人再生の返済遅れは再生計画廃止のおそれがある
- 返済遅れに「何回までなら大丈夫」ということは無い
- 返済する見込みが立たない場合「ハードシップ免責」「再生計画の変更」を検討する
- 個人再生の返済遅れに関する相談は、債務整理の経験実績が高い弁護士事務所に依頼しよう
- 「そうや法律事務所」では、個人再生をはじめとした債務整理の相談実績多数
個人再生の返済を1度でも怠ると、再生計画自体が廃止になる事も充分に考えられます。
1度手続きが廃止になると、減額された借金がもとの状態に戻り、生活が更に困窮してしまうでしょう。
このような事態を避けるためには、返済が難しく感じた段階で、一刻も早く弁護士に相談してください。
債務整理でお悩みの方は当事務所にお気軽にご相談ください。
相談料は無料です。