個人再生が家族や会社にバレるケースとは?どんな影響や迷惑があるのかを解説

個人再生

個人再生を行なったとしても、家族や会社に連絡が入ることはないため、原則バレません。

ただし、家族と同居している場合や家族が借金の保証人となっている場合など、家族に知られる可能性はゼロではありません。

また会社にも原則バレることはありませんが、会社から借り入れをしている場合、また個人再生の手続きに必要な書類の提出を会社に発行してもらった場合には知られてしまう可能性があります。

このページでは個人再生した際に家族や会社にバレて知られてしまうケースについて、知られた時にはどんな影響があるのかなど、詳しくご説明いたします。

家族に個人再生したことが知られるケース

家族に個人再生したことが知られる可能性がある場合は以下のケースです。

  • 同居の家族がいる場合
  • 家族が保証人となっている借金がある場合
  • 家族から借金をしている場合
  • 車などローンで購入したものが支払い中の場合
  • ローンを組む予定がある、家族にクレジットカードを渡して利用している場合
  • 官報の掲載を見られた場合

同居の家族がいる場合

同居の家族がいる場合、例えば同居人や配偶者に収入がある場合、家計収支書に記載しなければならず、収入証明書(給与明細と源泉徴収票のコピー)の提出が必要となります。

また手続きでは「家計表」の提出も必要となります。家計表とは家庭における支出について記載しなければならず、教育費や交際費、光熱費などを詳しく記載する必要があります。

ご自身で全てを把握していない場合であれば、書類作成にはご家族の協力が必要となるため、知られてしまう可能性があります。

家族が保証人となっている借金がある場合

個人再生を行うと配偶者や家族が保証人となっている借金がある場合、保証人に借金の義務が生じるため、債権者(貸し手側)から一括請求される可能性があります。

債権者から借金の全額返済を求められることになるため、個人再生したことを知られること以上に保証人への負担が大きくのしかかります。

個人再生による減額が適用されるのはあくまで債務者(借金をした方)本人が返済する場合であり、保証人が返済する場合は減額されません(民事再生法177条)。

民事再生法 第177条

再生計画は、再生債務者、すべての再生債権者及び再生のために債務を負担し、又は担保を提供する者のために、かつ、それらの者に対して効力を有する。

2 再生計画は、別除権者が有する第五十三条第一項に規定する担保権、再生債権者が再生債務者の保証人その他再生債務者と共に債務を負担する者に対して有する権利及び再生債務者以外の者が再生債権者のために提供した担保に影響を及ぼさない。

引用元:e-Gov

家族から借金をしている場合

家族から借金をしている場合、「債権者一覧表」に基づき、家族へ裁判所から通知が届くため、知られてしまいます。

個人再生の手続きでは「債権者一覧表」を裁判所に提出しますが、この債権者一覧表には借り入れ先を全て記載しなければなりません。

家族に知られたくないからといって、債権者一覧表から故意に家族からの借金を除外しないようにしましょう。これは個人再生手続きが棄却される理由になり得ることや罰則される可能性があるためです(民事再生法第25条)。

民事再生法 第25条

次の各号のいずれかに該当する場合には、裁判所は、再生手続開始の申立てを棄却しなければならない。
一 再生手続の費用の予納がないとき。
二 裁判所に破産手続又は特別清算手続が係属し、その手続によることが債権者の一般の利益に適合するとき。
三 再生計画案の作成若しくは可決の見込み又は再生計画の認可の見込みがないことが明らかであるとき。
四 不当な目的で再生手続開始の申立てがされたとき、その他申立てが誠実にされたものでないとき。

引用元:e-Gov

個人再生は借金だけでなく、所有する財産に至るまで詳しく調査されます。手続きの際には虚偽の申告をしないよう、強くお伝えしております。

車などローンで購入したものが支払い中の場合

個人再生は自己破産と違い、財産を差し押さえされることはありませんが、ローンで購入し支払い中の物は引き上げられる可能性があります。

例えば、車をローンで購入した場合、ローン会社に所有権がある場合は原則引き上げられます。

ローンを組む予定がある、クレジットカードを利用している場合

個人再生に限らず、債務整理を行うことで信用情報に傷が付くため、ローンやクレジットカードが一定期間、利用できなくなります。

ローンを組む予定の方であれば、審査で落とされることや、普段、支払いにクレジットカードを利用している方であれば、個人再生することで利用できなくなります。

また家族カードを作っている場合、契約者が個人再生することで家族カードも利用できなくなるため、家族に知られる可能性があります。

ご家族の信用情報には影響はないため、ご家族の方が契約しているクレジットカードは今まで通り使えます。またローンを組むことも可能です。

官報の掲載を見られた場合

個人再生を行なった場合は官報に掲載されます。官報とは国の新聞のようなものであり、個人再生以外、自己破産した際も掲載されます。

掲載される情報は氏名、住所等であり、この官報はインターネット版官報もあるため、誰でも閲覧できます。

官報の存在を知っている方が確認すれば、第三者にも個人再生したことを知られる可能性もあります。

会社に個人再生したことが知られるケース

会社に個人再生したことが知られる可能性がある場合は以下のケースです。

  • 会社から借金をしている場合
  • 退職金見込額証明書の発行を依頼した場合
  • 官報の掲載を見られた場合

会社から借金をしている場合

会社から借金をしている、例えば社内貸付制度を利用している方であれば、個人再生したことを知られる可能性があります。

また個人再生が解雇の理由になることは基本ありませんが、個人再生することで会社に迷惑がかかれば、解雇理由となる可能性はあります。

個人再生においては全ての債権者(借り入れ先)を平等に扱わなければならないため、会社からの借り入れだけを返済することはできません。また、故意に会社からの借金を除外しないようにしましょう。

退職金見込額証明書の発行を依頼した場合

個人再生では退職金見込額証明書の提出が必要となり、退職金がある方は退職金見込額証明書を会社に発行してもらわなければならず、会社に個人再生を知られてしまう可能性があります。

退職金見込額証明書の発行を会社に依頼する場合、個人再生で必要であるとは会社には言わず、住宅ローン等の与信審査で必要といった理由で依頼するよう伝えています。

勤め先に退職金制度がない場合、退職金制度がないことを証明する書類の提出(就業規則等)が必要となります。

官報の掲載を見られた場合

先ほども説明した通り、官報に掲載されるため、会社に知られる可能性はゼロではありません。

官報に掲載されたくない場合であれば、借金の減額効果は低くなりますが任意整理を選ぶのも一つです(任意整理については後ほど詳しくご説明いたします)。

家族や会社に知られるリスクを下げたい場合は

個人再生よりも家族や会社に知られるリスクを下げたければ、任意整理の検討をお伝えしています。

任意整理と個人再生の違いとは

任意整理と個人再生では借金の減額効果に違いがあります。

任意整理と個人再生の減額効果について

個人再生の場合、借金総額に応じて最大で10分の1まで減額される可能性があります。減額効果は借金が多ければ多いほど大きくなるのが個人再生の特徴であるため、借金が多い方は大きな減額効果が見込めます。

任意整理の場合、減額される借金は将来利息(今後、債権者に支払う利息)のみ。つまり利息分のみのカットとなるため、個人再生と比べると減額効果は低くなります。

また個人再生は裁判所を通して手続きを行いますが、任意整理は債権者(貸し手側)と債務者(借り手側)間での交渉で手続きを進めることができるため、裁判所から通知等は原則届きません。

任意整理でも債権者から裁判を起こされる可能性はあります。

任意整理は手続きする借金を選ぶことができる

任意整理は減額したい借金を選べるため、家族や会社に迷惑や影響がある借金を対象から外すことができます。またローンを支払い中の物で引き上げされたくない場合も、任意整理の対象から外すことで手元に残すことができます。

任意整理も個人再生同様、クレジットカードやローンは一定期間、利用できなくなります。

任意整理であれば第三者に知られる可能性は低い

任意整理は官報へ掲載されないため、個人再生のように第三者に知られるリスクは低くなります。

ただし、債権者(貸し手側)から自宅に電話がかかってきた場合や郵便物が届いた場合、家族に知られるリスクは生じます。

ご自宅等へ債権者から連絡が来ないよう手続きするのであれば、弁護士等、専門家へ任意整理を依頼することで知られるリスクは減らせます。

弁護士等、専門家へ依頼するメリット・デメリット

個人再生や任意整理は弁護士や司法書士に依頼することで代理人として手続きを行います。

司法書士の場合、取り扱える借金が1案件あたり140万円以下の制限があります。また裁判所に代理出廷もできない場合があるため、手続きの全てを任せたい場合は弁護士への依頼を勧めています。

では弁護士に任意整理を依頼した場合のメリット・デメリットについてご説明いたします。

メリット

弁護士に依頼するメリットとして、任意整理における手続きの全てを任せることができます。

また債権者から催促がある場合、弁護士と委任契約後、弁護士は債権者へ対し受任通知を送付します。この受任通知が債権者に届くことで催促や返済を止めることができます。

任意整理における手続き、債権者との和解交渉も全て弁護士に任せることができるため、ご自身の仕事や私生活に支障をきたすことはありません。

債権者から送られてくる郵便物も弁護士事務所宛に送付してもらえば、家族に知られるリスクを大幅に減らすことができます。

デメリット

デメリットは弁護士に対し、着手金や成功報酬など費用の支払いが必要となることです。

ただし、借金がどのくらい減額できるかは債権者との交渉次第であるため、ご自身で任意整理を行うよりも借金の減額効果が見込める可能性があります。

まとめ

個人再生は原則、家族や会社にばれませんが知られるリスクはあります。

家族に個人再生したことが知られる主なケース
  • 家族と同居している場合
  • 家族が借金の保証人である場合
  • ローンを組む予定やクレジットカードを利用している場合

個人再生の手続きで必要な書類を用意する時や家族への借金の請求などの影響が出る場合、知られずに個人再生を行うことは難しくなります。

会社に個人再生したことが知られる主なケース
  • 会社から借金をしている場合
  • 退職金見込額証明書の発行を依頼した場合
  • 官報を見られた場合

会社から借金をしていない方でも、個人再生の手続きで提出する退職金見込額証明書の発行を依頼した際に知られるリスクはあります。また官報を閲覧している方がいる場合も同様に知られてしまう可能性はあります。

どうしても知られたくない場合は、借金の減額効果は低くなりますが、個人再生よりも知られにくい任意整理を利用するのも一つです。

個人再生も任意整理も手続きに専門的な知識と手続きが必要となります。専門家である弁護士等へ依頼するよう勧めています。