弁護士に債務整理を依頼すべき理由│メリットと手続きを解説

債務整理

「債務整理の相談をしたいけれど、誰に相談したら良いのだろう」と今、まさに悩んでいませんか。

その間に状況が更に悪化してしまうかもしれません。

債務整理を検討している方の中には、手続きにかかる費用さえ支払うのが困難なため、自身で手続きをしようと考える方もいるでしょう。

しかし、依頼者の状況を踏まえたうえで、最適な債務整理方法や、改善方法をアドバイスし、サポートしてくれる弁護士に相談する方が良いです。

この記事では、弁護士に債務整理を依頼すべき理由とメリット・手続きまで詳しく解説していきます。

この記事でわかること
  • 債務整理は弁護士に依頼したほうが良い
  • 過払い金請求額に関わらず無制限で対応できる
  • 状況に応じた任意整理ができる
  • 弁護士であれば、少額管財事件で費用を安く抑えられる可能性が高い
  • 自己破産手続きは自身で行うと免責不許可のリスクが高い
  • 弁護士なら全てサポートしてくれる

任意整理は弁護士に依頼する

お金に関する問題を解決するには、高度に専門的な知識が必要であるため、弁護士に相談することをお勧めします。

債務整理を進めるには個人でも理論上は可能です。

個人で債務整理を行う流れとして、どこの金融機関からいくら借り入れをしたのか正確な情報を出してもらう開示請求、利息の計算、債権者との交渉や和解など、一通りの手続きを全て自分ひとりで進めなくてはなりません。

債権者である金融会社は、素人相手だと任意整理に応じないなど、そもそも話に耳を貸してもらえず門前払いされる確率が高く、仮に交渉に応じても不利な和解案を出される可能性があります。

個人再生や自己破産では、より多くの書類準備が伴い、債権者との話し合いも自分で対応するため、精神的に挫けてしまい、失敗することが多いです。

弁護士であれば全ての債務整理を依頼できる

債務整理を行うことには多くの困難が伴うため、債権者からの取り立てを止め、円滑・迅速に債務整理の手続を進めるのであれば、弁護士に依頼すると良いでしょう。

弁護士に債務整理を依頼すべき理由は、全ての債務及び業務を依頼できる事と、依頼者にとってメリットが大きい事が挙げられます。

それでは、詳しく解説していきます。

依頼者の負担が減る

債務整理は自分でも手続きは進められますが、法律用語や手続きに関する知識が求められ、賃金業者との対等な交渉には、かなりの時間と負担を要します。

弁護士への依頼により、債権者との交渉等のやり取りをする必要が無くなり、書面作成や資料収集等の面倒な事務手続きも弁護士に一任できるため、依頼者本人の負担が大幅に減ります。

費用が抑えられる可能性がある

費用を抑えたいと考えた場合に、自分で債務整理手続きを検討することはあまりおすすめできません。

任意整理や過払い金請求といった、貸金業者との交渉を必要とする場合には、極めて不利な条件での交渉を強いられることがあり、月々の返済額が減らない可能性があります。

また、自己破産を自分で行なうと、同時廃止や少額管財が利用できず、予納金が別途掛かるため、結果として支払う金額が増えてしまいます。

弁護士への依頼も費用はかかりますが、支払いについては多くの法律事務所で分割払いに対応している他、法テラスを介して弁護士へ依頼することによる分割払いも可能なので、心配せずに債務整理を依頼しましょう。

債権者からの連絡がなくなる

弁護士が、代理人として債務を請け負ったことを各債権者に知らせることを受任通知といいます。

受任通知を受けた貸金業者は、債務者へ直接の取り立てが禁止されるため、その時点で催促の電話や、督促状が送られてくることは無くなります。

これには法的効力が発生し、債権者が違反した場合は2年以下の懲役又は300万円以下の罰金が課せられるため、取り立てがあっても返済する必要はありません。

貸金業法で禁止されるのは直接の取り立てなので、訴訟や差し押さえなどの裁判手続きによって、貸金の返還請求をされる可能性はあります。

したがって、直接の取り立てはされなくなったとしても、訴訟によって判決を取得し、強制執行によって給与や年金及び預金等を差し押さえられる危険性は残っています。

しかし現状では、ほとんどの債権者は通常受任通知が届くと取り立てを停止してくれます。

 

対応できる個別の債権額の限度がない

弁護士とは、身近に起きる事件やトラブルについて法的なアドバイスをし、ときには代理人として相手方と交渉を行うなど、法律であなたを守る人です。

個別の債権額(借金及び過払い金)に縛りがなく、代理人として貸金業者との交渉や訴訟が可能です。

司法書士との違いは業務範囲にある

司法書士とは、本来不動産や会社などの登記を行うことなどを専門とする人を指し、債務整理における弁護士との違いは業務範囲にあります。

司法書士(正しくは「認定司法書士」のみ)は、個別の債権額(借金および過払い金)が140万円以下に限り、法律相談から交渉、訴訟が可能です。

つまり、貸金業者などからの個別の借金の額および過払い金が140万円を超える場合、司法書士には交渉権や訴訟代理権がなく、業務範囲外となってしまいます。

業務範囲弁護士司法書士
個別の債権額が140万超
法律相談、交渉、訴訟
〇対応可能×対応不可
個別の債権額が140万以下
法律相談、交渉、訴訟
〇対応可能△対応可能であるが、認定司法書士のみ

 

行政書士には依頼できない

行政書士とは、官公庁に届けるべき書類を企業や個人に代わり作成することなどが本来の業務であり、裁判所に関する書類の作成、手続きには一切関与出来ません。

ただし、任意整理においては、債務弁済の提案書などの作成を代行することが出来ます。

しかし、債権者との交渉は代行できないため、自分で手続きを進めなくてはならず、結果として困難になる可能性が高くなります。

債務整理には4つの種類がある

これまで解説してきたとおり、自分で債務整理を行うことには、多くの困難が伴います。

債権者からの取り立てを止め、円滑・迅速に債務整理の手続を進めたいのであれば、弁護士に依頼をすると良いでしょう。

債務整理には主に過払い金請求、任意整理、個人再生、自己破産の4つの手続きがあり、それぞれ弁護士に依頼するメリット・デメリットを解説していきます。

無制限で過払い金請求が可能なのは弁護士だけ

過払い金返還請求は、自分で手続きをするか弁護士など専門家に依頼するかの選択が可能です。

ほとんどの貸金業者は、過払い金返還請求を受けても満額の支払いに応じず、減額での和解提案をしてきます。

過払い金返還請求に関する法的知識や、貸金業者との交渉経験がない方の場合、貸金業者に対して和解額の増額を求める交渉が困難となるケースが多いです。

弁護士に依頼するメリットは、開示請求から貸金業者との交渉や裁判まで、面倒な手間を一切任せられることです。

弁護士に依頼すると、どれくらいの金額で和解するか、裁判をするかどうかといった判断をするだけでなく、過払い金の金額に関係なく返還請求ができます。

自分で請求するよりも高い金額での和解が期待できる

賃金業者によっては、過払い金の返還請求自体に応じようとしない業者や、減額した金額に納得できないことから和解できない業者もおり、その場合は訴訟を起こして裁判で争う必要が出てきます。

この賃金業者との裁判についても個人で行うことは可能ですが、他の請求と同じく自分で手続きや交渉をしていくのは、法的知識や時間がかかることから難しいものがあります。

一方、弁護士に依頼した場合は、裁判で過払い金を請求する際も、裁判所への出頭や書類作成等、法的知識がないと難しい対応も全て任せられます。

更に、自分で行うよりも弁護士に依頼した方が交渉術があるため、裁判による訴訟で高い和解金が支払われる可能性も高くなります。

任意整理│依頼者の状況に応じた対応が可能

任意整理をすると、弁護士が行なった分割交渉に基づいて返済していくため、無理のない範囲での返済が可能です。

さらに、自動車や住宅等のローン、引っ越し、ご家族への影響など、任意整理手続きをした場合のその後の生活について、あらかじめ、弁護士に確認や相談ができます。

自動車ローンを任意整理の対象から外すことにより、基本的には、そのまま自動車ローンを払い続ける限り、自動車を引き揚げることはありません。

任意整理後も携帯電話の契約自体には影響は及ぶ可能性は低く、生命保険などにも問題なく加入できます。

長期分割できるように交渉する

任意整理は、債務者に無理のない形で元金のみを原則36回~48回(3年~4年)の長期の分割で返済しますが、それでは返済しきれない場合には、最長で60回の分割ができるように交渉します。

また、契約期間が1年にも満たないような短期の場合には、長期の分割に応じてもらえない可能性はあります。

個人再生│弁護士なら費用が抑えられる可能性が高い

個人再生は裁判所を介した債務整理方法で、任意整理や自己破産よりも手続きが複雑なため、時間や費用がかかる傾向にあります。

裁判所に提出する書類も多く、手続きには6ヶ月から12ヶ月ほど要します。

中でも最も難しいといわれているのが、借入先(債権者)との協議や、問題点があった際の法律に基づいた説明を構成することです。

裁判所に提出する再生計画案は、債権者の理解を得る必要があるだけでなく、法律的な要件を満たすことが前提となります。

そのため、個人再生は弁護士や司法書士にかかる費用が高額になってしまいますが、専門家の力を借りる傾向があるのです。

手続き費用を抑えるために自身で申し立てを行っても、本人が申立てを行う場合は、手続きの指導監督を行う個人再生委員が裁判所によって選任され、その報酬は申請者の負担となるため、かえって高額になる可能性が高いです。

弁護士が代理人として申立てる場合、裁判所によっては、個人再生委員を選任しなくて済む可能性が高くなります。

個人再生後は救済措置制度が利用できる

個人再生は、民事再生法に則って裁判所に返済不能を申し立て、借金を5分の1〜10分の1程度に減額し、原則3年〜最長5年で返済していく方法です。

個人再生では、借金の総額に対して最低限返済しなくてはいけない額が決まっており、この額を最低弁済額といい、条件が合えば借金の元本が5分の1〜10分の1にまで減額できます。

マイホーム、ローン完済後の車を残せる

個人再生では原則的に財産を処分されないので、家を所有し続けられる場合があります。

住宅ローンが残っていても、住宅ローン特則(住宅資金特別条項)を使うことにより、ローン返済の継続によって、そのまま住み続けられます。

住宅ローン特則を利用するには、以下の条件があります。

  • 個人再生する本人が所有している
  • 対象の住宅に居住している
  • 居住スペースが2分の1以上である
  • 不動産に住宅ローン以外の抵当権がついていない
  • 住宅ローンの滞納、固定資産税の滞納がないこと

住宅ローン特則の利用条件がかなり複雑になっているため、弁護士に相談するのが良いでしょう。

さらに、ローンの支払いが終わっている車を手放す必要はありません。

ただしローン支払い中であり、車の所有者がローン会社になっている場合は、原則的には車は処分されてしまいます。

保証人に一括請求が行く

大幅に借金を減額でき、ローン支払い中の住宅も維持できる一方、個人再生には以下のデメリットもあります。

自己破産ではすべての借金の支払い義務が免除となりますが、個人再生は借金の元本を大幅に圧縮できるものの、原則として減額された借金の返済を毎月続けていく必要があります。

その為、個人再生には安定的な収入が最低限の条件です。

さらに、個人再生では特定の借入先の借金だけを選んで手続きはできないため、保証人が付いている借金があれば、減額分が保証人に一括請求されることになります。

また、車やバイクなど住宅以外でローンが残っているものは、手放す可能性もあります。

弁護士に依頼して個人再生の失敗リスクを下げる

法律の要件を満たした再生計画案のもと、債権者との協議ができるため、個人再生に失敗するリスクが少なくなります。

複雑な書類の準備や裁判所・債権者とのやり取りや代行も可能で、相談の過程で個人再生以外の方法が自分に適していると感じた際にも、それについてアドバイスもしてくれます。

返済できなくなった場合はハードシップ免責制度を利用する

個人再生の手続き後、返済している間に、失業など思いがけない理由で返済が難しくなることも考えられますが、その場合は個人再生計画の変更を裁判所に申立てましょう。

ハードシップ免責を裁判所に申し立てる事で、返済期間を最大2年まで延長が可能となり、返済期間を延長しても支払いが困難な場合、また返済金額の4分の3以上の返済が済んでいる場合は、残りの借金を免除出来ます。

ただし、ハードシップ免責後7年間は自己破産や個人再生(給与所得者等再生)ができないなどのデメリットもある為、まずは弁護士に相談しましょう。

少額管財事件が利用できる場合がある

自宅や自動車など20万円以上(現在の価値)の財産がある場合は管財事件となり、破産管財人と呼ばれる、破産者の財産を管理・処分し、債権者に配当する人がつきます。

管財事件になると、裁判所に支払わなくてはならない費用が高くなります。

自身での手続き、又は司法書士に依頼する場合は、通常の管財事件として処理されますが、弁護士への依頼により、少額管財事件が活用できる可能性があります。

少額管財事件の活用が可能な場合、裁判所へ支払う費用を管財事件の半分程度にまで軽減される可能性もありますが、弁護士が破産者の代理人になって裁判所に申立てる必要があります。

自己破産│本人で手続きを進めるのは難しい

自己破産手続きは、自身だけでも進められますが、法律や裁判所の運用に関する高度な知識や経験が求められるため、弁護士に依頼して失敗リスクを回避しましょう。

実際、「2020年破産事件及び個人再生事件記録調査(日本弁護士連合会/消費者問題対策委員会)」によると、個人の破産で専門家の関与なく本人で破産申立てをした割合は0.73%で、本人申立ての割合は極めて少なくなっています。

 引用元:2020年破産事件及び個人再生事件記録調査(日本弁護士連合会/消費者問題対策委員会)

では、自己破産手続きを弁護士に依頼する主なメリット、デメリットを解説していきます。

自分で自己破産すると免責許可が得られないリスクが高い

弁護士費用がかさんでしまうことを理由に、自身で手続きをしようと考える方がいます。

しかし 破産手続きはまさしく法律行為であり、弁護士費用を支払って依頼したほうが、結果的に低額に抑えられる可能性が高くなります。

さらに、自己破産手続きにおいて、免責不許可事由というものがあり、ギャンブルで借金した場合や浪費で借金した場合は、免責が得られないリスクがあります。

審尋という裁判所で借金をした理由を説明したり、お金の流れを確認する事が必要ですが、免責不許可事由に当てはまりそうな場合、細かい事情まで審尋で確認されます。

その場合、法律知識がないと裁判所が納得しないケースが多く、免責が受けられない可能性があります。

しかし弁護士の知識に基づいたある説明があれば、裁判所が納得する確率が上がり、免責を得られる可能性が高まります。

債権者からの督促がなくなる

弁護士に債務整理の依頼をすると、弁護士は直ちに介入する借入先である金融業者である消費者金融、クレジットカード会社、銀行などに受任通知を送ります。

この受任通知を受け取った金融業者は、貸金業法という法律や金融業界の内部規制によって、正当な理由がない限り債務者本人へ直接の督促をすることが禁止されます。

自己破産を予定している人は債権者とのやり取り、督促等の連絡にストレスを感じてしまう場合も多く、債権者とのやり取りも法律事務所が窓口となるため、破産者のところに債権者から直接電話が掛かってくることも無くなり、精神的な負担をかなり軽減できます。

しかし、裁判所を通じた督促は禁止されず、さらに友人などの完全な個人からの借金には督促禁止の力は及びません。

必要書類の収集をサポートしてくれる

自己破産を裁判所に申し立てるには、手続きの為に膨大な書類や資料の提出が求められ、破産者はそれを一から全て作成しなければなりません。

書類の取得方法や、取得が難しい資料の代替書類について代行、アドバイスも受けられます。

さらに、以下のような様々な書類を作成して、裁判所に提出しなければなりませんが、弁護士への依頼により、そのような書類はすべて弁護士が作成してくれます。

  • 申立書
  • 債権者一覧表
  • 財産目録
  • 勤務先や家族関係に関する報告書
  • 借金が増えていった事情についての報告書

上記書類は一部分で全てではありません。

裁判官や破産管財人との面接に同席してくれる

裁判所で自己破産の手続きをすると、裁判官や破産管財人との面接が裁判所や破産管財人の事務所で行われ、財産についてや借金が増えていった事情などについて質問をされます。

弁護士への依頼により、こういった面接にも弁護士が同席し、必要に応じて代わりに質問への回答、説明してくれます。

また、事前に質問への答え方についてアドバイスをしてくれることもあります。

自己破産以外の債務整理も提案できる

自己破産は、借金をすべて帳消しにできるメリットがありますが、規定以上の財産が没収されるなどのデメリットもあります。

そのため、自己破産以外の債務整理を選択したほうが良いこともありますが、弁護士への相談によって、現在の状況に応じてもっとも良い債務整理の提案を受けられます。

例えば、奨学金などは連帯保証人に親がなっていることが多く、子供が破産すると債務が親に回る可能性があります。

収入があるなら自己破産以外を選択したほうがよいかもしれません。

それぞれの手段にはデメリットがあり、自分の状況に最も合う方法を見つけていくのが重要です。

官報に掲載されるが知られる可能性は低い

自己破産と同様に、個人再生をした人の名前や住所などは官報に掲載されます。

掲載されるタイミングは、開始決定後、書面決議の決定後、認可決定後の3回です。

官報とは、国が発行する機関紙で、読者層は税務署や信用情報機関、金融業者などに限られます。

そのため、一般の人が官報を見る機会はほとんどなく、官報によって周りの人に個人再生をしたことを知られる可能性は低いでしょう。

この記事では、弁護士に債務整理を依頼すべき理由とメリット・手続きまで詳しく解説しました。

債務整理を考えている方で、インターネットで手続き方法や費用を検索して、少しでも安く抑えようと自身での申し立てを検討したかもしれませんが、かえって失敗リスクや費用が高くなってしまう危険性があります。

相談無料の事務所も多く存在しているため、どうしたら良いのか悩んでいる間に状況が悪化してしまう危険性もあるため、そうなる前に、まずは相談することをお勧めします。

弁護士は依頼者の状況を踏まえたうえで、最適な債務整理方法や、改善方法をアドバイスし、サポートしてくれます。

債務整理を検討している方は、この記事を参考に弁護士へ相談してみましょう。