債務整理を検討するときに、どの弁護士に依頼すべきか悩む方が多いです。
意を決して借金問題に取り組むことになるため、絶対に失敗したくないと考えるのは無理もありません。
借金問題は弁護士に頼めば大丈夫という訳ではなく、依頼先を間違えると失敗する可能性もあるため、借金問題に強い弁護士に依頼しましょう。
この記事では、借金問題に強い弁護士の条件と、債務整理を依頼する際に知っておくべきことを詳しく解説していきます。
- 借金問題は専門家である弁護士に依頼
- 借金問題に強い弁護士の条件│早期かつ有利に進められる
- 借金問題に強い弁護士には特徴がある
- ホームページなどで実績や費用を示している
- 精通していないと失敗リスクが高い
- 探す際に押さえるべきポイント
借金問題は専門家である弁護士に依頼
債務整理は自分で行うには難しく、専門知識と粘り強い精神力が求められるため、法律の専門家である弁護士に依頼するのが良いでしょう。
では弁護士に依頼した場合、どのような利点があるのか解説していきます。
最適な債務整理の方法を選択できる
債務整理とは、借金を減額したり、支払いに猶予を持たせ借金のある生活から解放されるための手続きです。
債務整理の手続きには、以下のように複数あり、弁護士に依頼すれば状況に応じた最適な債務整理の方法を選択出来ます。
本来支払う必要がないにも関わらず、貸金業者に支払い過ぎたお金のことを過払い金といいます。
過払い金請求とは、払い過ぎた金額を計算し、貸金業者に返還を求める手続きです。長年借金の返済を続けていた方は、払い過ぎた利息分を取り戻せる可能性があります。
債務整理の中でも手続きが難しくないのが任意整理です。
債権者と直接交渉で、将来利息負担を免除して月々の返済を減額でき、裁判所への手続きが不要。
また、費用も低額で、周囲にバレる可能性も低いです。
裁判所を対象に借金減額を申し立て、借金総額を1/5~最大1/10まで減額し、3年~5年かけて分割で返済する手続きです。
自己破産とは異なり財産を残せる利点があり、特定の職業に就けないといった資格制限なども受けません。
債務整理の中では最終手段に位置します。
多重債務等により支払不能となる個人に対し、裁判所より免責してもらう手続きです。
家や車といった財産は残せませんが、原則として借金を支払う義務がなくなり、生活に不可欠な財産は処分されないため、これまで同様の生活は可能です。
債権者からの取立てを即時停止できる
弁護士は債務整理の依頼を受けると、債権者に「受任通知」を行います。
受任通知には法的効力があり、債権者は通知を受けるとその後は一切の取り立てや請求は不可能になります。
催促の電話が無くなるため、精神的な負担も軽減するでしょう。
さらに、金融業者からの連絡先窓口は弁護士となるため、債権者から家に書類が届くといった事態がなくなります。
法律事務所からの書類も事務所名を伏せて送付できるため、弁護士に依頼していることも内緒にできる場合もあります。
債務整理の手続きを一任できる
弁護士は債務整理を行うべきか判断し、実際に債務整理を進める場合には手続きを代理・代行してくれます。
借金問題に悩んでいる方は、できるだけ早い段階で弁護士に相談しましょう。
債務整理では債権者との和解交渉、個人再生や自己破産の場合には、多くの資料準備から債権者への説明まで膨大な労力がかかってしまいますが、弁護士に依頼すれば手続き全般を代理人として全て一任できます。
借金問題に強い弁護士の条件│早期かつ有利に進められる
借金問題に強い弁護士の条件の一つとしては、債務整理において依頼者に不利益とならず早期に進められることです。
また、裁判所ごとの運用をしっかりと理解しており、自己破産・個人再生の手続きを抜け・漏れなくスムーズに行います。
では、借金問題に強い弁護士に依頼する利点を解説します。
長期分割の和解交渉ができる
任意整理は、債務者に無理のない形で元金のみを36回(3年)以上の長期の分割で返済する手続きです。借金完済の負担となる利息の支払いは免除されます。
また、返済が遅れたときに発生する遅延損害金は減額できるように交渉して、場合によっては全額カットできる可能性もあります。
分割回数は36回が基本的な目安ですが、交渉次第で最長60回以上の分割ができます。
契約期間が1年にも満たないような短期の場合には、長期の分割に応じない債権者が多いですが、弁護士事務所からの粘り強い交渉で和解できる可能性があります。
過払い金請求での減額リスクが低い
貸金業者からの借入れに、利息制限法の定める年15%~年20%を超える利息がついている場合は、この超過部分について減額を求めることが可能です。
債務整理に強い弁護士は、債権者に過大な要求はせず、現実的な金額を取り戻します。
過払い金には、法定利息を付した金額を請求する権利がありますが、債権者が不服申し立てを行う可能性が大きくなります。
その場合、裁判に勝訴した上で相手の資産に強制執行をする必要があり、長期化します。
最悪の場合、取り戻せないこともあります。
貸金業者の担当者は、任意交渉では過払い金の何%、裁判を起こされたときには過払い金の何%という形で、上限を決めて裁量が与えられています。
その裁量を超えると貸金業者は一切応じないため、見極めが必要です。
弁護士は、金額・返還時期について知識があり、依頼者の要望に応じて適切な対応をとってくれます。
裁判所への早期申し立てが可能
裁判所への申し立ては、書類の抜け・漏れがあると差し戻しをされます。
書類を修正して裁判所へ申し立てを繰り返すと、その分手続きが進みません。
自己破産の同時廃止を申し立てる場合に、受任通知から1年以上経過した申立てにおいて、申立てを遅延し、遅延に合理的理由がないと判断される事案では、管財事件と判断される可能性が高くなってしまいます。
また弁護士が書類不備を適切に修正しない場合は、破産法に「破産手続開始の申立人が不備を補正しないときは、裁判長は命令で破産手続開始の申立書を却下しなければならない。」とある通り、申し立てを却下されてしまいます。
裁判所ごとの運用をしっかりと理解している弁護士であれば、自己破産・個人再生の手続きを抜け・漏れなくスムーズに行い早期申し立てが可能です。
裁判所や管財人からの請求に適切に対応する
自己破産手続きでは、裁判所や管財人から各種の請求を出されることがあります。
管財人とは、破産手続きにおいて、財産の管理及び処分をする権利を有する人で、破産者の財産調査から債権者への分配まで行います。
裁判所や管財人からされた請求に対して、不利となる返答を避けて適切に対処し、手続きが長引くことを防ぎます。
借金問題に強い弁護士には特徴がある
借金問題に強い弁護士には、主に以下のような特徴があります。
- 対応が柔軟で迅速
- 債務整理に精通している
- 借金問題に対応する組織がしっかりしている
- ホームページなどで実績や費用を示している
- 債務整理を取り扱った経験がある
では、特徴について個別に詳しく解説していきます。
対応が柔軟で迅速
弁護士は平日しか執務をしておらず、土日・夜間には原則として相談に応じていない事が多く、日中仕事をしている人にとっては相談をすることは難しいです。
しかし、借金問題に強い弁護士は、土日・夜間に対応してくれる事が多く、更に以下のような柔軟かつ迅速な対応が取れます。
- 弁護士費用の分割払いが可能
- 特別な理由(失業など)に限り、弁護士費用の支払いを一旦待ってくれる
- 任意整理の支払い計画を柔軟に作ってくれる
- 進捗毎に連絡をくれるため状況が分かりやすい
このように、手続き全般を通した丁寧な対応に繋がります。
債務者の立場に親身に対応する
債務整理は、親身になって相談できる担当者に対応してもらえる事務所が望ましく、相談をするたびに別の担当者に対応してもらうよりも、最後まで専属の担当者に相談できる方が良いでしょう。
借金返済に困った相談者は弁護士への相談・依頼に躊躇したり、度重なる督促に心身ともに疲弊しています。
このような相談者に「法律ではこうです」といった事務的な対応では、債務者に寄り添った解決は望めません。
債務整理に精通している
当然ですが、借金問題に強い弁護士は債務整理に精通しています。
弁護士が債務整理に詳しくない場合、支払い開始時期が早まってしまい、相談者に不利な条件になる可能性もあります。
弁護士の中には、整理屋と呼ばれる資格がないのに債務整理で稼ごうとしている者に名義を貸していることがあるため、広告などの宣伝文句に振り回されないように十分注意することが大切です。
借金問題に対応する組織がしっかりしている
借金問題に強い弁護士は対応する組織をしっかり備えています。
弁護士がたくさんの案件に向き合うためには、それを支える組織が必要です。
直接案件を支えるパラリーガルと呼ばれる法務専門の事務職員をはじめ、組織を適切に整えた上で業務にあたっています。
ホームページなどで実績や費用を示している
借金問題に強い弁護士はホームページなどで実績や費用を明確に示しています。
債務整理の依頼を受ける旨を明示して、よくある質問に対する回答を掲載し、実績や費用を明示して、依頼に不安のないようにしています。
債務整理の依頼に積極的ではない弁護士は、ホームページで債務整理の依頼を受けていることを明言しなかったり、費用などを載せていなかったりします。
弁護士は法律の専門家ですが、全ての分野が得意というわけではなく、借金・債務整理を得意とする弁護士もいれば、離婚・慰謝料請求を得意とする弁護士もいます。
借金問題に強い弁護士は、債務整理の知識や経験が豊富で全ての手続きに対応してくれます。
また、積立金制度という和解が成立するまでの期間にお金を積み立て、和解成立後に積立金を返済に充てるという制度が利用できる場合があります。
任意整理には時間が掛かりますが、受任通知が送られてから和解が成立するまでは、借金の支払いは停止されます。
しかし、その間にお金を浪費しては意味がありません。
積立金制度の利用により、任意整理手続き期間に無駄なお金を使うことは無くなります。
返済途中に、特別な理由により支払いが大変なときには、この積立金から債権者へ返済してくれる場合もあるので、是非利用しましょう。
債務整理を専門家に依頼した場合、原則的には着手金・報酬金・実費・日当といった費用がかかります。
料金体系が分かりやすく明記されているか確認し、専門用語が多く総額が曖昧になっている場合は注意が必要です。
減額報酬も詳しく説明してもらいましょう。
減額報酬とは、当初の借金総額と「引き直し計算」後の借金総額の差額の10%程度を別途報酬として支払うことをいいます。
たとえば以下のようなケースがあります。
- 総額400万円の借金を債務整理する
- 引き直し計算後、借金は100万円まで減額
- 減額分300万円の10%である、30万円が減額報酬として支払う
こういった別途報酬が分からないままではなく、明確に出してくれる弁護士は信頼できるでしょう。
債務整理を取り扱ってきた経験
債務整理の手続きを取り扱ってきた経験から実績、知識、ノウハウやスキルが蓄積していきます。
例えば、消費者金融や信販会社の業界でも、ここ10年間に合併や債権譲渡・倒産などいろいろな出来事がありました。
裁判所の運用も頻繁に変わるものの、依頼者のお悩みには似通った対処方法があります。
債務整理の経験が蓄積されていると、この場合はこうやって解決するといった的確な判断ができます。
借金問題に精通していないと失敗リスクが高い
借金問題に精通していない弁護士の場合、不利益な状態となり失敗リスクが高くなる可能性があります。
では、どのような失敗例があるかを紹介していきます。
依頼者への配慮が足りない任意整理をする
依頼者の債務状況を把握せずに任意整理を進めて、月々の返済額が厳しい和解案を組むことがあります。
結果、返済が滞り債権者へ再和解案を提出するため、二度手間となってしまいます。
最悪の場合、和解出来ずに自己破産へ切り替えますが、再度弁護士への依頼料が発生するため料金も時間も掛かってしまいます。
過払い金請求で不利益を被る
過払い金請求での返還金額を大幅に減額されることがあります。
貸金業者の担当者は上述したように、一定の裁量は持っているものの、可能であれば減額するに越したことはありません。
貸金業者ごとの支払い基準を知らず、粘り強い交渉ができないと減額案に応じてしまう可能性があります。
また、貸金業者の会計処理の都合で返還時期を遅らせることがあります。
だいたいの返還時期については遅れても一ヶ月ですが、支払い時期基準を把握していないと、貸金業者の主張する返済時期に承諾してしまい、返還が遅延します。
過払い金が時効時期にかかると請求できなくなるため注意が必要です。
案件を放置して訴訟を起こされる
依頼を受けておきながら、案件を放置する弁護士がいます。
弁護士に依頼すると、正当な理由なく債務者に対して直接請求ができなくなりますが、案件を放置していると、貸金業者は訴訟を起こすことが可能です。
訴訟されてしまった場合、自宅に裁判所から通知を送ることになるので、家族に内緒で債務整理を依頼しているような場合は知られるリスクが高くなります。
探す際に押さえるべきポイントは5つ
借金問題に強い弁護士事務所を探す際に、押さえておくべきポイントは以下の通り5つあります。
- 無料相談が可能
- 費用が明確で支払い方法にも柔軟に対応
- 債務整理のスケジュールを提示してくれるか
- 弁護士の人柄が信頼できるか
- 過去にトラブルがない弁護士か確認する
無料相談が可能
弁護士への相談料を払えないという理由で、法テラスや弁護士会の無料相談・市区町村の無料弁護士相談を利用する方がいます。
しかし、相談をした弁護士が債務整理を取り扱っているとは限りません。
債務整理に強い弁護士は、気軽に相談してもらえるように相談料が無料、かつ正式に依頼するまでは何度でも相談無料のところが多いです。
最初から相談料が無料の弁護士に相談をするのが良いです。
費用が明確で支払い方法にも柔軟に対応
弁護士費用が高ければ質がいい、安ければ悪いという訳ではありません。
安くできる理由は様々で、業務を借金問題、債務整理に絞っているから、広告費にお金をかけていないから、その分安い料金で依頼を受けている可能性もあります。
弁護士費用の案内は公式サイトのホームページで確認できる所が多いですが、相談時に詳しい料金を確認しましょう。
費用の目安を確認するには、電話相談でも良いです。
明確な費用を提示し、分かりやすく案内してくれる弁護士事務所なら安心して依頼できます。
債務整理のスケジュールを提示してくれるか
債務整理には、受任通知の送付から債権者・裁判所とのやりとりまで、多くの工程があります。
手続きの明確なスケジュールを提示してくれるところを選ぶことにより、手続きが滞った際もすぐに弁護士へ確認ができるので安心です。
また、居住エリア内に債務整理に強い弁護士や信頼できる弁護士が見つからない場合は、無理に選択せず、全国対応可能な弁護士事務所へ相談する方もいます。
その場合、電話や郵便でのやりとりが増えますが、スケジュールが明確であれば進捗状況を把握できて不安になることも少なく安心できます。
弁護士の人柄が信頼できるか
最後に実際に相談してみて、頼りになるかを確認しましょう。
インターネット上の情報を確認しても、実際に相談してみないと弁護士の人柄は分からない事が多いでしょう。
高圧的ではないか、本当に弁護士本人と話ができるのか、自分との相性が良いかを確認しましょう。
債務整理は長いと1年以上時間が掛かり、相性が悪くストレスを抱えながら手続きを進めると、連絡が疎遠になる可能性もあります。
法律相談を無料で受けたとしても、必ず依頼をしなければならない訳ではありません。
実際に相談をしてみて相性が悪いと感じた場合には、他の弁護士に相談してみましょう。
過去にトラブルがない弁護士か確認する
債務整理は今後の生活にかかわる大切な手続きです。
過去にトラブルのない弁護士か、弁護士紹介サイトやインターネット検索でトラブルの有無、問題のある弁護士ではないか、評判や懲戒処分を受けているかどうかを確認しましょう。
ただし、インターネットでの口コミについては、弁護士に対して良くない感情を持った人が事実無根のことを主張することがあるため、参考程度に留めましょう。
まとめ
この記事では、借金問題に強い弁護士の条件とは、債務整理を依頼する際に知っておくべきことを詳しく解説しました。
相談は早い方が良く、迷って何もしない時間が長くなるほど、状況が悪化してしまう可能性が高いです。
債務整理の手続きは複雑で、専門的な知識が求められるため個人で債務整理を行うと、書類作成や直接交渉をしなければならない負担や、ストレスが大きいと同時に適切ではない債務整理をしてしまうリスクがあります。
記事を参考に、まずは無料相談を行っている専門の弁護士に相談して借金問題を失敗せずに解決しましょう。