債務整理後でもクレジットカードを利用する方法とは

債務整理

債務整理をした場合、それまで利用していたクレジットカードがどのようになるのかは、債務整理をしようとする人にとっては大変悩ましい問題です。

債務整理をする場合には、任意整理を選択し、クレジットカードの利用代金を整理の対象外としない限り、債務整理後にクレジットカードを利用できる可能性はありません。

ここでは、「債務整理後でもクレジットカードを利用するには」をテーマに、債務整理とクレジットカードの関係や債務整理後のクレジットカードの利用法などについて紹介します。

現金よりもカード中心の生活を送ってきた人が債務整理をする際には、ぜひ、参考にしてください。

この記事でわかること
  • クレジットカードの債務整理ではキャッシング枠とショッピング枠の一方だけの選択は認められない
  • 債務整理をしてブラックリストに載ると5~10年間クレジットカードを作れない
  • 任意整理でクレジットカードを整理対象から外すと、少しの間そのまま使える場合がある
  • 債務整理後にいつまでも使い続けられるようなクレジットカードはない
  • 債務整理をした人に新規に発行してくれる審査の甘いクレジットカードはない
  • 債務整理後にクレジットカードの代替として役立つのは「プリペイドカード・デビットカード・家族カード」
  1. クレジットカードの債務整理について
    1. クレジットカードの利用代金は債務整理の対象となる
    2. クレジットカードの債務整理は任意整理手続きが一般的
      1. クレジットカードの任意整理で4つのことを実現できる
    3. ショッピング利用代金の債務整理にはメリットが多い
  2. 現在手持ちのクレジットカードはどうなるか
    1. 現在手持ちのクレジットカードは原則として使えない
    2. 債務整理をするとクレジットカードが使えなくなる
    3. クレジットカードを新規で作れない使えない期間は5~10年間
  3. 債務整理後でもクレジットカードを利用するには
    1. 債務整理後にクレジットカードを作ることは不可能か
    2. 任意整理で整理の対象から外せばクレジットカードを使えるのか
  4. 債務整理後にクレジットカードの代替として役立つもの
    1. クレジットカードの代替カードとして有用なプリペイドカード
      1. プリペイドカードは2種類
      2. プリペイドカードにはクレジットカードを代替できる特徴がある
    2. 信用情報の影響を受けないデビットカード
      1. デビットカードは2種類
      2. デビットカードにもクレジットカードの代替ができる特徴がある
    3. 家族の信用情報で発行してもらえる家族カード
      1. あまりおすすめではないが本会員の家族にだけ作れる家族カード
      2. 配偶者が債務整理したときの家族カードの申込み方法

クレジットカードの債務整理について

クレジットカードの利用代金は、「借金である」とも「法律上は立替金であり、借金ではない」とも言われます。

たとえ利用代金が法律上は立替金であっても、返済しなければならないので、クレジットカードの利用は「返済義務のある借金」と受け止めるべきです。

現金よりもクレジットカードを使い慣れた人にとって、利用代金を請求や口座引落しされるまでは、「利用代金は借金である」といった感覚がないのかもしれません。

そうしたことが返済能力を超えたクレジットカードの利用に結びつき、借金の返済に苦しむことにつながると言えます。

債務整理は、クレジットカードやローンなどの借金の返済に苦しんでいる債務者を救済する法的に認められた手続きです。

ここでは、クレジットカードの債務整理について解説します。

クレジットカードの利用代金は債務整理の対象となる

クレジットカードには、「キャッシング」と「ショッピング」の2つの機能があります。

この2つとも、クレジットカード所有者の信用にもとづき、カード会社に商品やサービスなどの代金を一時立て替えてもらい、後払いで決済をする機能です。

クレジットカードの利用代金は、法的にはカード会社による「立替金」なのですが、利用者にとってはカード会社からの借金であると言えます。

したがって、「クレジットカードの利用代金」は、ショッピング枠・キャッシング枠とも債務整理の対象となります。

債務整理とは、借金の返済の負担を減らしたり借金を免責したりする「任意整理・個人再生・自己破産など」の手続きを言います。

それぞれの手続きについておさらいをすると、次のとおりです。

  • 任意整理とは、裁判所を介さずに債務者と債権者の話し合いによって借金の利息を無くす手続き
  • 個人再生とは、地方裁判所に申立てを行い、借金の額を最高で10分の1まで減らせる手続き
  • 自己破産とは、家などの財産を手放す必要があるものの、借金の全額を免除される可能性がある手続き

債務整理の際にどの手続きで申し立てるのかについては、弁護士や司法書士に相談して決定する債務者が多いようです。

クレジットカードの債務整理は任意整理手続きが一般的

現金を借り入れるキャッシング枠であれ、買い物に利用するショッピング枠であれ、どちらの枠の利用代金であっても債務整理の対象です。

債務整理はクレジットカードの利用代金のすべてを対象にすることから、「キャッシング枠だけ」「ショッピング枠だけ」といった選択は認められません。

裁判所を介さないので正確な件数は公表されていませんが、クレジットカードの債務整理で行われることが多い手続きは「任意整理」のようです。

現時点の借金の残高が、将来利息カットによって3~5年の分割で返済できる程度の金額に収まるケースでは、任意整理がもっとも適した方法と言われています。

しかし、利用残高が多く3~5年での返済が難しい場合は、任意整理ではなく「個人再生」か「自己破産」の検討が必要です。

なお、クレジットカードの債務整理をする際には、次の3点に注意してください。

  1. クレジットカードで購入して返済が終わっていない商品は、カード会社に引き揚げられる可能性があること
  2. 光熱費や電話代などのクレジットカードによる支払いができなくなること
    クレジットカードを債務整理するとすぐにカードの利用が停止されるので、そのクレジットカードで公共料金などの支払いをしている場合は、それができなくなります。
  3. クレジットカードのショッピング利用分は「過払い金請求」ができないこと
    テレビCMなどでもよく見かける「過払い金請求」については、ショッピング利用分は対象になりません。

ただし、キャッシング利用分には過払い金発生の可能性があることから、弁護士に相談してください。

クレジットカードの任意整理で4つのことを実現できる

任意整理をおおまかに説明すると、「債権者と交渉して借金を無理なく返済できるようにする手続き」で、返済に苦しむ多くの債務者に利用されています。

任意整理は裁判所が介入しない手続きであることから、交渉は債務者(または委任した弁護士や司法書士)と債権者の間で行われます。

クレジットカードの借金の債務整理の中で、任意整理の手続きを選択した場合、次の4点の実現の可能があるのです。

  1. クレジットカードの将来利息をカットできる
  2. 返済期間を3~5年で完済できる
  3. 月々の返済額の見直しができる
  4. キャッシングで過払い金が発生していたら請求できる

ショッピング利用代金の債務整理にはメリットが多い

クレジットカードのショッピング利用代金(リボ払い代金)の返済が苦しくなった場合は、債務整理の任意整理手続きが有効であると言われます。

では、このショッピング利用代金を任意整理すると、どのようなメリットやデメリットがあるのでしょう。

ここでは、メリットとデメリットを一覧表で具体的に紹介しましょう。

メリットデメリット
専門家に委任すると督促や取立てを停止できる
全部の借入を対象にしなくても良い
将来利息をカットできる
毎月の返済額が減る可能性がある
返済期間を延ばせる
キャッシングの過払い金請求ができる
借金完済のゴールが見え将来の不安が軽減される
ブラックリストに載る
ショッピングの過払い金請求はできない
債権者が高額な削減には応じない場合がある

なお、クレジットカードの債務整理をする際、キャッシングでは過払い金が発生する可能性がありますが、ショッピングにおいては発生しないという点は留意したいポイントです。

現在手持ちのクレジットカードはどうなるか

債務整理には「任意整理・個人再生・自己破産」の3種類の手続きがありますが、どの手続きで債務整理をしても、原則として一定の期間、クレジットカードは使えなくなります。

また、その期間内においては、あらたなクレジットカードの申込みをしても審査に通ることはありません。

これは、債務整理をしたことが事故情報として個人信用情報機関に登録されること(これを「ブラックリストに載る」という)で受けるいくつかの制約の1つです。

以降では、債務整理手続きの種類ごとに、クレジットカードが「いつまで使え、使えない期間はどれくらいなのか」を見ていきましょう。

現在手持ちのクレジットカードは原則として使えない

現在手持ちのクレジットカードがいつまで使えるかは、債務整理手続きの種類によって次のとおりです。

任意整理

手続きの対象にしたカードには強制解約されますが、任意整理は整理する債務を選択できることから、クレジットカードを整理対象から外すことで今までのように使用可能です。

ただし、当面は使用できても、クレジットカード会社が行っている「途上与信」が実施された時点で利用できなくなるのが一般的です。

なお途上与信とは、クレジットカード会社が個人信用情報機関へ利用者の信用情報を定期的に問い合わせる手続きのことを言います。

個人再生

整理する債務を選択できないので、クレジットカードの借入が残っている場合は整理対象となり、カード会社からの強制解約によって使用できなくなります。

自己破産

個人再生と同様に整理する債務の選択は認められないことから、クレジットカードの借金が残っている場合は整理対象となり、カード会社から強制解約されることで使用できなくなります。

債務整理をするとクレジットカードが使えなくなる

債務整理をするとクレジットカードが原則として使えなくなるのは、なぜなのでしょう。

この問いに対しては、「当事者の金融事故情報が個人信用情報機関に登録される(ブラックリストに載る)ため」というのが答えです。

ブラックリストに載ると、登録が抹消されるまでは次のような制約を受ける可能性があります。

  • 現在使用しているクレジットカードが使えなくなる
  • クレジットカードを新規に作れない
  • ローンやキャッシングなど、一切の借金ができなくなる
  • 高額な物を購入する際、購入代金の分割払いができない
  • 他者の借金の保証人になれない
  • 一部の賃貸住宅やマンションの契約ができない

こうした制約の1つとして銀行や消費者金融、クレジットカード会社などは、新たなローンの契約やクレジットカードの発行を認めないのです。

さらに、申し込みさえも受け付けてもらえないことから、審査も受けられません。

なお、一部のヤミ金業者によるローンの貸付やカード発行、ブラックリストから登録を抹消などの案内が行われている場合がありますが、これらには絶対に手を出してはいけません。

クレジットカードを新規で作れない使えない期間は5~10年間

債務整理をすると、クレジットカードに関しては「使えない・作れない」といった制約を受けます。

それは、個人信用情報機関に登録された事故情報が抹消されるまでの、ブラックリストに載っている期間です。

その期間は3つある個人信用情報機関と債務整理の種類によって異なっており、次表に示すとおりです。

情報機関全銀協KSC日本信用情報機構 JICCシーアイシー CIC
加盟会社銀行・銀行系カード会社消費者金融・カード会社信販会社・カード会社
任意整理5年間5年間5年間
個人再生10年間5年間5年間
自己破産10年間5年間5年間

個人信用情報機関では3つの機関による「CRIN」、JICCとCICの2つの機関による「FINE」という情報交流ネットワークを構築しています。

したがって、いずれかの個人信用情報機関のブラックリストに載ると、情報交流ネットワークを通じて全ての情報機関で共有され、それぞれブラックリストとして扱われてしまいます。

なお、任意整理と個人再生の場合、債務整理後の返済期間は原則3年(最長5年)となっており、返済期間が過ぎてもブラックリストの登録は抹消されない可能性があります。

そのため、返済が終わったからといっても、すぐには新たなクレジットカードに申し込めないことがあるという点は留意しましょう。

債務整理後でもクレジットカードを利用するには

債務整理をすると、現在保有しているクレジットカードは、原則として使えなくなります。

また、新たなクレジットカードを作れないうえにカードローンなども利用できないことから、債務整理をしてから5~10年間はすっきりとした現金生活になります。

ここでは、「債務整理後はクレジットカードを作ることは本当に不可能なのか」「クレジットカードを利用する方法はないのか」、といったことをテーマに解説します。

債務整理後にクレジットカードを作ることは不可能か

債務整理の中のどの手続きを利用しても、「債務整理後、すぐにクレジットカードを作ることは不可能」という原則に違いはありません。

債務整理後でもクレジットカードをすぐに欲しいという債務者の気持ちは理解できるのですが、個人信用情報機関の登録が抹消されるまではクレジットカードを作れないのです。

とは言え、ネット上には債務整理後に申し込んで審査をクリアした、といった事例が紹介されています。

債務整理をしたばかりの人に新たなクレジットカードの利用を認めるかどうかは、それぞれのカード会社が決定すべきことです。

したがって原則と異なり、債務整理後すぐにクレジットカードを発行する会社があっても、違法とはならず、また不思議なことでもありません。

ネット上に「審査が甘いといわれているクレジットカード」などと紹介されているものは、本社がアメリカの有名なカード会社で、日本のヤミ金のような存在ではないのです。

それらのクレジットカード会社の場合、審査で重視するポイントが日本のクレジットカード会社とは異なります。

日本のクレジットカード会社の多くは過去の返済実績を重視しますが、本社がアメリカのクレジットカード会社では、過去の返済実績よりも、今現在と今後の収支の可能性を重視するのが一般的なのです。

この審査基準の違いが、一部の申込者にとっては審査が甘く感じられ、債務整理後すぐにクレジットカードを作れた、といったことにつながっているのでしょう。

しかし、そうした審査基準はホームページや募集要項には掲載されていないことから、利用を希望する場合はダメ元で申し込まざるを得ません。

任意整理で整理の対象から外せばクレジットカードを使えるのか

債務整理をしても、現在利用しているクレジットカードを利用できる方法があります。

それは、債務整理に任意整理の手続きを選択したうえでクレジットカード利用代金を整理の対象から外すことで、現在手持ちのクレジットカードを従来どおり使う方法です。

これは、整理対象の債務を選択できるという任意整理だけの特徴を利用した方法で、それによって債務整理後もクレジットカードを使えることになります。

ところが、任意整理後にクレジットカードを使えても、それはいつまでも使い続けられるということではなく、使えるのは当面の間に限られます。

具体的には、当該クレジットカード会社の途上与信(カードを発行したあと利用状況に問題がないかを確認すること)が行われるまでの期間です。

任意整理の対象から外されたクレジットカード会社では、途上与信を経て利用者の任意整理の事実を知ることになり、その時点でクレジットカードは利用できなくなります。

なお、クレジットカード会社によっては、任意整理の場合には「未使用や債務残高が少ないクレジットカード」については利用を止めないことが方針としてあるようですが、公表はされていません。

一部のクレジットカードについては、「審査が甘い」「審査が緩い」「審査が通りやすい」「審査がない」などと言った情報が提供されています。

しかし実際には、債務整理をした人にそのような都合の良いクレジットカードはない、と認識しておきたいものです。

特に近年は多重債務者が増加傾向にあることから、金融庁は貸付に関して厳しい指導と点検を続けています。

そうしたこともあって、審査基準の甘い銀行や消費者金融などは存在しておらず、クレジットカードの審査や新規の発行は一段と厳しくなる傾向にあると理解しておくべきです。

したがって、債務整理後にクレジットカードをどうしても利用したいのであれば、クレジットカードと類似機能を持つカードを利用する必要があると言えるでしょう。

債務整理後にクレジットカードの代替として役立つもの

債務整理後もしばらくの間はクレジットカードを使えても、途上与信が行われることによって、いずれ使えなくなることを見てきました。

それによって現金主義の生活が求められることから、キャッシュレス生活に慣れていた人にとっては大問題です。

ここでは、債務整理をした後にクレジットカードを使えない場合でも、クレジットカードの機能を一部代替として利用できる、次の3つのカードについて紹介します。

  • プリペイドカード
  • デビットカード
  • 家族カード

クレジットカードの代替カードとして有用なプリペイドカード

ここでは、クレジットカードの代替カードとして、「プリペイドカード」を紹介します。

プリペイドカード(prepaidcard)とは、事前に(=pre)一定額を支払った(=paid)カード(=card)のことです。

カードの利用者は利用したい金額をあらかじめカードにチャージ(入金)し、その金額を限度に商品やサービス代金をこのカードで支払います。

プリペイドカードは「前払い」が前提ですが、使い慣れたクレジットカードと同じように、携帯に便利で現金の持ち運びをしなくても使えるのがメリットです。

プリペイドカードを債務整理後にクレジットカードを利用したい人におすすめなのは、このカードの使用に当たっては「審査がないのでだれでもが購入できること」にあります。

また、自分がチャージした金額の範囲内しか利用できないので使い過ぎる心配がないことも、債務整理後の人に適したカードと言えるでしょう。

プリペイドカードは2種類

プリペイドカードには、「使い切り型」と「チャージ型」の2つのタイプがあります。

「使い切り型」のプリペイドカードは、あらかじめ使える金額を決めて発行されているカードで、『図書カード』や『QUOカード』などです。

一般的には「使い切り型」のプリペイドカードというよりも「商品券」や「ギフトカード」と呼ばれ、5,000円や10,000円などの金額が設定されたることが多いカードと言えるでしょう。

「チャージ型」のプリペイドカードは、使用するカードに希望する金額をチャージ(入金)し、残高がなくなり次第、新たにチャージすることで繰り返し使用できます。

チャージの方法は、専用機やコンビニエンスストアのレジなどで現金を支払う方法や銀行口座の残高からチャージする方法など、カードの種類によってさまざまです。

次に、チャージ型プリペイドカードの「種類とカード名」を、一覧表で示しておきます。

種類具体的なカードの名称
流通系nanaco・WAON・楽天Edyなど
交通系Suica・ICOCA・PASMOなど
国際カードブランド付きVISA・MasterCard・JCBなど

種類分けの「流通系のプリペイドカード」とは、コンビニエンスストアやショッピングセンターなどの加盟店で利用できるカードです。

また、「交通系のプリペイドカード」とは、運賃の支払いや加盟店での支払いに利用できるカードで、公共交通機関が発行しています。

さらに、「国際カードブランド付きのプリペイドカード」とは、それぞれのブランドの加盟店での支払いに利用可能であり、海外でATMを使っての現金引出しができるカードです。

プリペイドカードにはクレジットカードを代替できる特徴がある

プリペイドカードには次に列挙するような特徴があり、クレジットカードを代替できる可能性が高いと言えます。

  • 審査がないのでだれでも利用できる
  • ブラックリストに載っていてもカードの発行を断られる心配がない
  • クレジットカードの申込みとは違って詳細な個人情報をカード会社へ提出する必要がない
  • あらかじめチャージした金額の範囲内の利用に限られるので、使い過ぎを防止できる
  • 年会費が発生しないものが多い
  • 年齢制限が緩やかで小学生でも申し込めるカードがある

これらの特徴から分かるとおり、「前払い式」と言う違いはあるものの、プリペイドカードは債務整理後にクレジットカードの代替カードとして利用しやすいものと言えるでしょう。

信用情報の影響を受けないデビットカード

クレジットカードの代替カードとして、「プリペイドカード」に続いては「デビットカード」をおすすめします。

デビットカードとは、商品購入代金やサービス利用料と同額が、カードでの支払いと同時にカード利用者の銀行口座から引き落とされる仕組みのカードです。

デビットカードのこのような仕組みから、クレジットカードの場合のように後から返済ができなくなるといったリスクがありません。

また、現金を持ち運ぶ必要がないことやネットショッピングでの利用、海外でも使用できることなどから、クレジットカードの代わりに利用する人は増加しています。

デビットカードは審査を受ける必要がないこともあり、債務整理によってブラックリストに載った人におすすめできるカードの1つと言えるでしょう。

デビットカードは2種類

デビットカードには、「J-Debit」と「国際(ブランド付き)デビット」の2種類があります。

「J-Debit」は、銀行などの金融機関が発行するキャッシュカードにデビット機能を付帯したカードで、日本国内だけで使えます。

デビット機能とは、キャッシングとショッピングの代金を利用者の銀行口座から即時引落しをする機能です。

このカードは、大手百貨店や家電量販店をはじめ各地の商工会議所加盟の小売店など、現在、全国で約45万の国内の加盟店での利用が可能です。

「国際ブランドデビットカード」は、VISA・JCBなどの国際ブランドと連携したカードで、海外でも使えます。

このカードを利用できるのは国際ブランドのマークがある世界中の店舗で、国内のネットショッピングやコンビニエンスストアでの利用も可能です。

2種類のカードを比較すると、次のとおりです。

種類利用範囲カードの発行元やカードの名称
J-Debit約45万の国内の加盟店三井住友・三菱UFJ・みずほ・ゆうちょ・地方銀行など
国際デビット国際ブランドと連携した世界中の店舗VISA・JCB・MasterCard・Wise・みずほJCBなど

なお、国際ブランド付きデビットはキャッシュカードとの「一体型」だけでなく、たとえば「みずほJCB」などのような「分離型」のデビットカードが発行されています。

デビットカードにもクレジットカードの代替ができる特徴がある

デビットカードには、次に列挙するような特徴があります。

  • 基本的に審査は行われず、信用情報機関に照会されないので、ブラックリストに載っていても作れる
  • 利用限度額が口座残高であることから、使いすぎを防げる
  • 利用の都度メールで通知されるので不正に利用されてもすぐに気づく
  • 中学生を除く15歳以上(発行会社により異なる)の未成年者も高齢者も利用できる
  • デビットカードは原則として家族カードやETCカードを発行できない

デビットカードにはこうした特徴があり、カード発行元の銀行口座があれば作れることから、債務整理後のカードに最適です。

家族の信用情報で発行してもらえる家族カード

債務整理をした後でもクレジットカードを代替できるカードの3つ目は、「家族カード」と呼ばれるクレジットカードそのものです。

家族カードとはクレジットカードの本会員の配偶者・子供・両親などに対して発行されるカードで、債務整理をした当事者がこのカードを利用します。

個人信用情報機関に登録・管理される信用情報はあくまで個人単位なので、債務整理をした当事者以外の家族名義であればクレジットカードを作れるのです。

そのクレジットカードで家族カードを作って債務整理をした当事者が利用するため、債務整理をした後でもクレジットカードを使う有効な方法と言えるでしょう。

しかし、この方法で債務整理後もクレジットカードを利用できますが、せっかく債務整理をしながら新たに借金を増やす可能性の高いものであるため、家族カードはあまりおすすめできません。

あまりおすすめではないが本会員の家族にだけ作れる家族カード

「家族カード」とはクレジットカードの本会員の家族に対し追加で発行する本会員と同じカードで、「家族会員カード」や「ファミリーカード」とも呼ばれています。

家族カードの基本事項は次のとおりです。

  • 家族カードの利用:家族カードの名義人に限られます。
  • カードの種類:本会員と同ランクのカードです(本会員がゴールドカードなら家族会員もゴールドカード)。
  • 家族カードの対象:本会員と生計をともにする配偶者、親、子供(18歳以上で高校生を除く)です。
  • 毎月の支払い:本会員と家族会員の利用分をまとめて本会員が登録している口座から引き落とされます。
  • 利用限度額:本会員の限度額を共有することから、本会員と家族会員の合計利用額が利用限度額です。
  • 解約:本会員がカードを解約すると家族カードも解約で扱われます。

配偶者が債務整理したときの家族カードの申込み方法

ここでは、夫が債務整理をした場合に配偶者の妻はどのように夫用の家族カードを作るかを紹介しておきましょう。

債務整理の手続きをすることによって個人信用情報機関に事故情報を登録されるは、あくまでその個人です。

したがって、夫が債務整理をしてクレジットカードを利用できなくなっても配偶者には影響しないので、妻は自分名義でクレジットカードの利用を申し込めます。

配偶者の妻が専業主婦の場合、それほど高額な利用限度額は期待できませんが、銀行系のクレジットカード・女性向けクレジットカードなどへ新規の申込みが可能です。

夫が利用する家族カードは、妻の新規のクレジットカードにあわせて申し込みます。

なお、新規カードの申込みと家族カードを同時に申し込む際の方法はクレジットカードによって異なるため、事前にしっかりと確認してください。