携帯電話の利用料金(基本料金や通信料金等)を滞納していなければ、債務整理(任意整理、個人再生、自己破産)しても使うことは可能です。
滞納料金(利用料金や端末代金)が支払えない場合は、債務整理することで支払い額の減額や免責(支払いが帳消し)できる可能性がありますが、携帯電話は利用できなくなります。
滞納料金を債務整理した情報はTCAに登録されるため、他社への乗り換えや契約もできなくなります。
もし滞納されている方であれば、個人再生や自己破産することにより、携帯電話会社との契約を強制解約される場合があるため、手続きの対象から外すことができる任意整理を利用するのも一つです。
また債務整理することで、信用情報機関(CIC、JICC、全国銀行個人信用情報センター)に事故歴として情報が登録されるため、携帯端末購入時、代金を分割払いできなくなります。
では債務整理が及ぼす携帯電話の利用にどう影響するのか?詳しくご説明いたします。
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債務整理しても携帯は使える?
携帯料金等の滞納がない方であれば、債務整理後も携帯電話は利用できます。
携帯料金は「利用料金」と「端末代金」に分けることができ、利用料金(基本料金や通信料金等)を滞納した状況で債務整理すると強制解約される可能性があるため、携帯電話が利用できなくなる場合があります。
滞納している利用料金を債務整理した場合
携帯電話の利用料金(基本料金や通信料金等)を滞納した状態で債務整理した場合、強制解約される場合があります。またこの場合、他社乗り換えを含め、携帯電話自体を利用できなくなる可能性があります。
これは債務整理した情報が信用情報機関に事故歴として登録され、携帯電話会社各社に情報共有されるためです。
事故歴として登録される信用情報機関(管轄)は利用料金と端末代金で異なり、滞納料金や債務整理した事故歴は一定期間、登録されます。
料金項目 | 登録される信用情報機関 |
---|---|
利用料金に関する情報 | TCA |
端末代金に関する情報 | CIC、JICC、全国銀行個人信用情報センター |
TCA(一般社団法人 電気通信事業者協会)に登録される情報は「契約解除後に料金不払いのある顧客情報」であり、契約解除後、5年は登録されます。
信用情報機関 | 事故歴として登録される機関 |
---|---|
TCA | 5年以内 |
CIC | 5年以内 |
JICC | 5年以内 |
全国銀行個人信用情報センター | 10年以内 |
債務整理した後でも一定期間が経過、信用情報機関に登録された事故歴が抹消されれば、再び携帯電話会社と契約できるようになります。
端末代金を支払い中で債務整理すると携帯端末は引き上げされる?
端末代金を分割払いで支払い中の場合で債務整理しても、携帯端末は引き上げされない場合がほとんどです。
分割払いで購入した物が支払い中に引き上げされる場合は、所有権がローン会社等にある場合です。
携帯端末の扱いについて、大手携帯電話会社(Docomo、SoftBank、au)の割賦販売に関する同意事項を見ても「端末が引き渡しされた時点で所有権は契約者に移転する」とあります。
(指定商品の引渡し及び所有権の移転) 第6条 指定商品は、本契約成立後、当社所定の本契約の申込画面又は交付書面(以下、総称して「交付書面等」といいます。)に記載する時期に当社から契約者に引渡しされるものとし、指定商品の現実の引渡しが完了したときに指定商品の所有権が当社から契約者に移転するものとします。
引用元:Docomo 割賦販売契約約款より
つまり携帯端末の場合、分割払いで購入しても所有権は契約者(ご自身)にあることから、債務整理しても携帯端末は引き上げされる可能性は低いでしょう。
そうや法律事務所で債務整理した事例でも、端末代金を支払い中の方で携帯端末を引き上げされたケースはありません。
携帯端末は一定期間、分割払いで購入できない
債務整理することで信用情報機関に事故歴として記録されるため、一定の期間は分割払いで購入できなくなります。
分割払いで携帯端末を購入する場合、携帯会社が照会する信用情報機関は主にCIC、JICCであるため、最低でも5年間は分割払いで購入できないと考えましょう。
携帯端末も一括で支払えば購入できる
債務整理後は携帯端末を分割払いで購入できなくなりますが、一括払いであれば購入することは可能です。
また債務整理後はクレジットカードも一定期間、利用できなくなるため、携帯端末を購入する際は原則、現金一括払いと考えておきましょう。
債務整理別に見る携帯電話の利用に及ぼす影響
利用料金や端末代金の支払いができない場合、債務整理で支払い額を減らすことができますが、デメリットも生じます。
また債務整理によって、携帯電話の利用に及ぼす影響が異なります。
任意整理なら携帯電話を手続きから外せる
任意整理であれば、手続きする借金を選ぶことができるため、携帯電話を任意整理から外し、手続きできます。
ただし、利用料金や端末代金を滞納したまま放置すれば、延滞利息がかかりますし、最終的には強制解約される場合があります。
延滞利息 | 利用料金(基本料金他) |
---|---|
Docomo | 14.5% |
SoftBank | 14.5% |
au | 14.5% |
また滞納した料金の支払いは原則一括支払いとなります。
Q. 料金を滞納しています。分割支払いにできますか?
A.支払い期限が過ぎた料金を分割でお支払いすることはできません。申し訳ありませんが、一括でのお支払いをお願いいたします。
引用元:SoftBank よくある質問
滞納している料金を一括返済し滞納状態を解消する、もしくは滞納分の支払いが難しい状況であれば、任意整理することで延滞利息をカット、分割払いで支払える可能性があります(携帯電話は強制解約され利用できなくなります)。
個人再生や自己破産を行う前の一括返済は避けること
個人再生、自己破産も任意整理同様、滞納等していなければ利用はできます。
ただし、任意整理のように手続きから外すことはできません。
また携帯電話を利用したい理由から、個人再生や自己破産の手続きを行う前に、滞納した携帯料金の一括返済は避けるようお伝えしています。
これは個人再生や自己破産において、偏頗弁済(へんぱべんさい)が禁止されているためです。
偏頗弁済とは特定の債権者(貸し手側)のみに対し返済することを指しますが、個人再生、自己破産ともに債権者(貸し手側)は平等に扱われることが原則です。
また、特定の債権者(貸し手側)のみに返済した場合、個人再生や自己破産が認められない(不認可や免責不許可)となる可能性があります。
債務整理後はクレジットカードが使えなくなる
債務整理後の注意点として、クレジットカードやローンが利用できなくなることが挙げられます。
携帯電話料金(利用料金や端末代金等)をクレジットカードで支払っている場合、債務整理後はクレジットカードが利用できなくなりますので、支払い方法の変更が必要となります。
またクレジットカードで貯めたポイントも失効します。例えば、auの場合であれば、au PAYカードで支払いだけでなく、ポイントも付与されますが、利用停止だけでなく、ポイントも失効します。
スマホ決済を利用されている方も同様に支払い方法をクレジットカードから変更しておきましょう。
まとめ
債務整理しても携帯電話は利用できます。ただし、携帯電話が利用できなくなる場合もあります。
携帯電話が利用できなくなるのは、利用料金(基本料金や通信料金等)を滞納している状態で債務整理を行った場合です。
もし利用料金を滞納している方で携帯電話の利用を続けたい方であれば、任意整理の利用をお伝えしています。任意整理であれば、任意で手続きする債務(借金)を選べるため、携帯電話を任意整理の対象から外せば、使い続けることは可能です。
ただし、滞納した状況が続くようであれば、強制解約され利用できなくなる可能性があるため、支払いが難しい場合は債務整理をお勧めしています。
債務整理でも個人再生や自己破産の場合は任意整理とは異なり、全ての債務(借金)が対象となるため、携帯電話だけ外すといった手続きができません。また携帯電話を利用したいからといって滞納料金を一括返済もできません(偏頗弁済は禁止されているため)。
また債務整理することで携帯端末購入時の分割払いはできなくなります。携帯端末は一括払いで購入することになるため、機種変更等、購入する時期を見据え、積み立てするようお伝えしています。
債務整理後はクレジットカードも利用できなくなります。携帯料金の支払いにクレジットカードを利用されている方は支払い方法の変更も忘れず、手続きしておきましょう。
債務整理でお悩みの方は当事務所にお気軽にご相談ください。
相談料は無料です。