時効を成立させるために必要な「時効の援用」。時効の援用は債務整理と比較しても安価であり、ご自身で行うこともできます。
弁護士や司法書士に依頼しても決して高くはなく、ご自身の時間を割くことを考えれば、依頼してしまうのも一つです。
行政書士へ依頼すると格安で済みますが、できることは文書作成等に限られるため、ご自身で手続きをする必要があります。
また手続きを任せたい方であれば、司法書士は費用を抑えることができますが、時効の援用が行えるのは140万円以下の時効の援用に限られるなど取り扱いに制限があります。
このページでは時効の援用を行うにはどのような手続き、用意するものが必要なのか?なるべく費用を抑える方法を詳しく解説していきます。
時効が成立できるか当事務所でお調べします。
相談料は無料ですのでお気軽にご連絡下さい。
時効の援用ができるのか?確認する方法とは
時効の援用ができるのか?ご自身で確認することは可能です。
ただし注意すべきことは消滅時効期間を過ぎているのかの確認は最も重要であり、消滅時効期間の確認を誤れば、時効そのものが成立しない、もしくは債権者に時効の更新(中断)をさせるきっかけを作ってしまうためです。
時効の更新となれば、時効期間がリセットされてしまいます(再び時効の援用ができるのは5年後以降になります)
時効が成立するには最終返済日から数えて5~10年経過していることが一つの条件となり、この期間を消滅時効期間といいます。
消滅時効期間の開始は契約日や借り入れした日からではありません。借入先との取引(返済など)があった日から起算します。
時効が成立しているか確認するためには
時効が成立しているか?確認する方法は以下となります。
- 過去に借り入れ先(債権者)から届いた催促状などを確認する
- 信用情報機関に開示請求しご自身の信用情報を確認する
これらで確認すべきは最終返済日がいつなのか?ですが、債権者からの催促状等が手元にない、紛失している場合は信用情報機関から信用情報を取り寄せる(開示する)方法で知ることができます。
信用情報を開示する際は1,000円程度手数料が発生しますが、過去~現在までの借入状況、どのような事故歴(金融事故歴)として登録されているのか、そして最終返済日など必要な情報を把握できます。
- CIC
- JICC
これらに登録している貸金業者や信販会社、銀行などで異なります。
信用情報機関 | 加盟している業種 |
CIC | ・信販会社 ・百貨店 ・専門店会 ・流通系クレジット会社 ・銀行系クレジット会社 ・家電メーカー系クレジット会社 ・自動車メーカー系クレジット会社 ・リース会社 ・保険会社 ・保証会社 ・銀行 ・消費者金融会社 ・携帯電話会社など |
JICC | ・消費者金融会社 ・流通系 ・銀行系 ・メーカー系クレジット会社 ・信販会社 ・金融機関 ・保証会社 ・リース会社など |
信用情報機関でいえば全国銀行個人信用情報センターもありますが、最終返済日の確認ができません。また全国銀行個人信用情報センターに登録されている情報は銀行から借り入れ等の情報ですがCIC、JICCでも確認できる(保証会社の情報が掲載されている)ため問題はありません
例えば、消費者金融から借りている場合であれば、CICとJICCで信用情報を開示すれば状況を把握できます。
ちなみに開示方法は各信用情報機関で微妙に異なります。
信用情報機関 | 開示方法 | 手数料 | 支払い方法 |
CIC | ・インターネット(スマホ・パソコン) ・郵送 ・窓口 | 1,000円(税込) | ・クレジットカード ・定額小為替証書 |
JICC | ・スマホ(申し込みのみ) ・郵送 ・窓口 | 1,000円(税込) | ・クレジットカード ・コンビニ払い ・ペイジー対応の金融機関ATM、オンライン支払い |
CIC、JICCであれば開示手続きの申し込み自体はスマホでも行えるため、開示しやすいと言えるでしょう。
各信用情報における最終返済日の確認方法
開示した信用情報は各信用情報機関によって見方が異なります。
CICで最終返済日を確認するには「43.最新支払日」を確認します。
ここに記載されている日付が最終返済日です。
JICCでは信用情報記録開示書(ファイルM)の「最新入金日/確認日」を確認します。
記載される最終返済日から消滅時効期間を経過しているのか?を確認し、時効が成立しているのであれば、時効の援用を行いましょう。
期間中に少額(利息だけ)の返済を行っている場合、債権者に借金をしていると認めていることになり、そのタイミングから消滅時効期間がリセットされます。
債務名義が取られている場合は注意が必要
債務名義とは裁判所が差押え等を行うための書類であり、債務名義が取られた、つまりは債権者が訴訟を起こし判決が下されたタイミングから時効成立までの期間が10年間に延長されます。
問題となるのが、過去に債権者に裁判を起こされていることを知らずに債務名義を取られている場合です。
裁判は何も通知なしで起こされ、勝手に判決が決定することはなく、裁判所から届く書類を放置してしまった時に起こります。
- 引っ越しで住所が変わっていて受け取れなかった
- 不在票を放置して受け取らなかった
- 家族が受け取ったものの知らされず放置した
これらの場合、結果として知らぬ間に債務名義が取られてしまいます。
債務名義が取られているかを確認するためには債権者に確認すれば確実ですが、確認することで債権者に借り入れしていることを認めていることになり、時効期間がリセットされるリスクもあります
債務名義に関してはご自身で調べることは非常に難しいこともあり、消滅時効期間の確認に少しでも不安があれば、弁護士等に調べてもらいましょう。
時効の援用の手続きの流れ
時効の援用を行う際の手続きの流れを見ていきましょう。
- 時効が成立しているかの確認
- 時効援用通知書の作成
- 時効援用通知書の送付
- 時効の援用の成立
時効が成立しているかは前述したように債権者から通知(催促状等)や信用情報から確認します。時効が成立していなければ時効の援用ができません。
前述しましたが時効の成立、すなわち消滅時効期間を経過しているのか?確実に把握したければ、弁護士、もしくは司法書士に依頼し調査してもらうのが確実です。
時効の援用が行えることが分かれば、「時効援用通知書」を作成します。時効援用通知書はひな形もありますので、ひな形を利用し作成するのも一つです。
- 契約日
- 借入日
- 契約日
- 最終返済日(最終取引日)
- 消滅時効の援用であることを明記
上記全てを忘れず記載しましょう。特に「消滅時効の援用をする」という文言は他の言い回しをすると時効の援用を行使できなくなるため注意しましょう。
時効援用通知書は3枚用意し、送付したことを証明するためにも内容証明郵便で債権者へ送付します。
時効援用通知書を3枚用意する理由は「債権者送付用」「郵便局保管用」「ご自身の控用」です。債権者送付用以外はコピーを取り、全てに押印しましょう。
時効援用通知書が債権者に届き、異議等なければ、時効の援用は成立します。
時効の援用成立後は信用情報機関からも記録は消されるため、ローンやクレジットカードが利用できるようになります。
ただし時効の援用を行った借り入れ先(債権者)には、時効の援用を行った情報が残されるため、再度利用することは難しくなります。
時効の援用の費用について
費用だけで見ると行政書士は低コストで依頼できますが、対応してもらえることは時効援用通知書の作成、内容証明郵便での送付のみとなり、時効の調査や債権者の交渉等は対応できません。
時効援用通知書の作成も内容証明郵便の送付も難しいものではないため、行政書士に依頼する意味はそこまでありません。
司法書士と弁護士の場合は時効援用通知書の作成はもちろん、債権者との交渉も可能であり、費用は弁護士に依頼した時のほうがやや高くなる傾向があります。
司法書士、弁護士、どちらに依頼するか?選ぶ際のポイントとしては、時効の援用を行う借金が1件あたり140万円を超える場合です。140万円を超える時効の援用の場合、司法書士は対応できません
140万円以下の借金とわかっている場合であれば司法書士に依頼、それ以外は弁護士に依頼しましょう。
時効の援用は費用として発生するのは弁護士等に依頼しなければ基本、内容証明郵便の料金のみ、1,279円で済みます。
基本費用 | 84円 |
一般書留の加算料金 | 435円 |
内容証明の加算料金 | 440円 |
配達証明 | 320円 |
最も安く時効の援用を行えますが、債権者側が訴訟を起こした場合、また時効が出来なかった場合、そのまま任意整理に移行が出来、交渉が必要となるケースもあるため、司法書士や弁護士に依頼せずとも一度話を聞いてから行ったほうが確実でしょう。
まとめ
時効の援用を弁護士や司法書士に依頼しても費用は3万円から。比較すると司法書士に依頼したほうが費用は安く抑えることができる傾向にあります。
ただしどちらに依頼しても、時効援用通知書の作成や送付はもちろん、時効の援用が可能か?調査だけでなく、債権者との交渉や裁判に発展した場合も対応してもらえます。
違いとしては司法書士の場合は140万円以下の時効の援用に限られることです。
また行政書士に依頼すれば8,000円程度と費用は安く済みますが、時効援用通知書作成と送付のみとなるため、ご自身で時効の援用を行った場合と変わりません。
費用をかけたくない場合はご自身で時効の援用を行えばよいのですが、時効の援用を成功させるために重要となるのが消滅時効期間の把握であり、確実に把握するためには弁護士、もしくは司法書士に依頼するのが確実でしょう。
時効が成立できるか当事務所でお調べします。
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